【問211】知的財産管理技能検定3級 練習問題|TRIPS協定の医薬品特許に関する強制実施権
国際条約 問19/20難易度B(標準)
問題文
WTOのTRIPS協定の下で、公衆衛生上の国家緊急事態を理由に医薬品の特許について強制実施権を設定する場合の扱いとして、正しいものはどれか。
- 1.事前の許諾を得る努力は免除されるが、速やかな通知が必要となる
- 2.医薬品の特許については、強制実施権の設定が一切認められていない
- 3.医薬品の特許に限り、権利者への通知も対価の支払も不要となる
解説
正解
正解は選択肢1です。
各選択肢の解説
選択肢1 → ✅正解
TRIPS協定第31条(b)は事前交渉を原則とするが、国家緊急事態その他極度の緊急事態では免除される。ただし権利者は合理的に実行可能な限り速やかに通知を受ける。
選択肢2 → ❌誤り
TRIPS協定第31条は分野を限定せず強制実施権を認めており、医薬品を除外していない。2001年ドーハ宣言もこの点を確認している。
選択肢3 → ❌誤り
通知は第31条(b)により必要であり、第31条(h)は権利者に適当な報酬を支払うことも求めている。無条件ではない。
背景知識
TRIPS協定は1995年発効のWTO協定の一部で、知的財産保護の国際的な最低基準を定める。第31条は特許権者の許諾を得ない実施(強制実施権)を認める条件を列挙し、事前交渉・通知・報酬・実施範囲の限定などの規律を置いている。2001年のドーハ宣言は、TRIPS協定が加盟国の公衆の健康保護を妨げないことを確認し、強制実施許諾の付与事由を各国が自由に決定できるとした。知的財産保護と医薬品アクセスのバランスを図る仕組みである。
学習アドバイス
強制実施権は「認められるが無条件ではない」が要点。免除されるのは事前交渉の努力義務だけで、通知と報酬の支払は残ることを押さえる。
まとめ
- TRIPS協定第31条は医薬品特許にも強制実施権を認める
- 国家緊急事態では事前交渉の努力義務が免除されるが、速やかな通知は必要
- 第31条(h)により権利者への適当な報酬の支払も求められる