【問106】ビジネス実務法務検定3級 練習問題|工作物責任
民法(物権・担保・相続) 問26/40難易度B(標準)
問題文
民法上の工作物責任(民法717条)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 1.土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があり、これによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者および所有者の双方が連帯して損害を賠償する責任を負う。
- 2.土地の工作物の占有者は、損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときであっても、損害賠償責任を免れることはできない。
- 3.土地の工作物の占有者がその責任を免れる場合、所有者はその損害を賠償しなければならず、所有者の責任は無過失責任とされている。
- 4.土地の工作物責任は、工作物の所有者と占有者の双方が同一人物である場合には適用されない。
解説
正解
正解は選択肢3です。
民法717条1項により、占有者が免責された場合、所有者が損害を賠償する責任を負い、所有者の責任は無過失責任とされています。
各選択肢の解説
選択肢1 → ❌
工作物責任は第一次的に占有者が責任を負い、占有者が必要な注意をしたとき免責され、第二次的に所有者が責任を負います。占有者と所有者が連帯してではなく、段階的責任です。
選択肢2 → ❌
民法717条1項ただし書により、占有者が損害発生防止に必要な注意をしたときは責任を免れます。
選択肢3 → ✅
所有者は無過失責任を負います。占有者免責後の最終的な責任の引き受け手として、所有者は注意を尽くしていても責任を免れません。
選択肢4 → ❌
所有者と占有者が同一人物の場合、占有者責任の免責が認められず、所有者として無過失責任を負います。
背景知識
工作物責任は、土地の工作物(建物、塀、看板など)の設置・保存の瑕疵により第三者が損害を被った場合の責任です。第一次的責任は占有者で、占有者が必要な注意をしたと立証すれば免責されます(過失責任)。第二次的責任は所有者で、無過失責任です。これは、危険な工作物を所有する者にリスク負担させるべきという危険責任の現れです。竹木の損傷についても同様の責任が認められます(民法717条2項)。なお、原因となる第三者がいる場合は、占有者・所有者から第三者への求償が可能です。
学習アドバイス
工作物責任は「占有者→過失責任」「所有者→無過失責任」の2段階構造を理解することが重要です。所有者の無過失責任は危険責任の典型例として頻出論点です。竹木にも適用される点も押さえましょう。
まとめ
- 工作物責任は占有者→所有者の段階的責任
- 占有者は必要な注意で免責されるが、所有者は無過失責任
- 危険責任の考え方を反映した制度