【問105】ビジネス実務法務検定3級 練習問題|過失相殺
民法(物権・担保・相続) 問25/40難易度B(標準)
問題文
不法行為における過失相殺(民法722条2項)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 1.不法行為について被害者に過失があった場合、裁判所は損害賠償の額を必ず減額しなければならない。
- 2.被害者に過失があった場合、裁判所は損害賠償の額を定めるにあたってこれを考慮することができる。
- 3.過失相殺は、債務不履行責任には適用されるが、不法行為責任には適用されない。
- 4.過失相殺は、被害者本人の過失のみを考慮し、被害者の被用者など被害者側の者の過失は一切考慮することができない。
解説
正解
正解は選択肢2です。
民法722条2項により、被害者に過失があったときは、裁判所はこれを考慮して損害賠償の額を定めることができます(任意的減額)。
各選択肢の解説
選択肢1 → ❌
不法行為の過失相殺(722条2項)は「定めることができる」とされており、必ず減額しなければならないわけではありません。裁量的です。
選択肢2 → ✅
民法722条2項のとおりで、不法行為では裁量的に過失相殺を考慮します。
選択肢3 → ❌
過失相殺は、債務不履行(民法418条)にも不法行為(722条2項)にも適用されます。
選択肢4 → ❌
判例は「被害者側の過失」の理論を認めており、被害者と身分上・生活関係上一体をなすと見られる者(夫婦、親子など)の過失も考慮されます。
背景知識
過失相殺は、損害の発生・拡大に被害者側にも過失がある場合、損害の公平な分担の観点から賠償額を減額する制度です。債務不履行(418条)と不法行為(722条2項)の両方で認められますが、文言が異なります。債務不履行では「裁判所は、これを考慮して、損害賠償の責任及びその額を定める」(必要的)とされ、不法行為では「定めることができる」(裁量的)とされています。判例は「被害者側の過失」を認め、家族など被害者と生活関係上一体の者の過失も考慮します。
学習アドバイス
過失相殺は債務不履行と不法行為で文言が違う点が重要です。「不法行為=任意的減額」「債務不履行=必要的減額」と覚えましょう。被害者側の過失の判例理論も応用論点です。
まとめ
- 不法行為の過失相殺は裁判所の裁量による
- 過失相殺は債務不履行にも不法行為にも適用される
- 被害者側の過失(家族など)も考慮される