【問107】ビジネス実務法務検定3級 練習問題|責任能力
問題文
不法行為における責任能力に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 1.未成年者は、年齢にかかわらず、不法行為について責任を負わない。
- 2.未成年者が他人に損害を加えた場合、その行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、その行為について賠償の責任を負わない。
- 3.責任能力のない未成年者の不法行為について、その親権者は監督義務を尽くしていた場合であっても責任を免れない。
- 4.精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く者は、責任能力の有無にかかわらず、常に賠償責任を負う。
解説
正解
正解は選択肢2です。
民法712条により、未成年者が他人に損害を加えた場合に、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは賠償責任を負いません。
各選択肢の解説
選択肢1 → ❌
未成年者でも責任能力(事理弁識能力)があれば責任を負います。年齢のみで一律に決まるわけではありません(一般に12歳前後を境とする)。
選択肢2 → ✅
民法712条のとおりです。責任弁識能力がないときに責任を負わないのは未成年者の重要な保護規定です。
選択肢3 → ❌
民法714条1項ただし書により、監督義務を怠らなかったとき、または義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、監督義務者は責任を免れます(実務上はほぼ認められない)。
選択肢4 → ❌
民法713条により、精神上の障害により責任弁識能力を欠く者は責任を負いません。ただし故意または過失により一時的にその状態を招いた場合(薬物・飲酒など)は責任を負います。
背景知識
不法行為の成立には責任能力(事理弁識能力)が必要です。これがなければ不法行為責任を負わないため、被害者保護のため監督義務者の責任(714条)が用意されています。未成年者の責任能力は年齢で一律に決まらず、行為の性質と本人の発達度合いで個別に判断されます。判例では概ね11~12歳が境界とされます。責任無能力者の場合は監督義務者(親権者・後見人など)が代替的に責任を負いますが、義務を尽くしていれば免責されます。最判平成27.4.9(サッカーボール事件)では、監督義務者の責任を限定的に解する判断が示されました。
学習アドバイス
責任能力は「事理弁識能力」とイメージしましょう。未成年者の責任能力は年齢ではなく個別判断(概ね12歳)であること、責任無能力者の場合は監督義務者責任で被害者保護が図られることを押さえましょう。
まとめ
- 責任能力のない未成年者は不法行為責任を負わない
- 責任能力の有無は年齢ではなく個別判断
- 責任無能力者の代わりに監督義務者が責任を負う(714条)