【問58】ビジネス実務法務検定3級 練習問題|善管注意義務と委任
民法(債権・契約) 問18/36難易度C(難しい)
問題文
委任契約における受任者の注意義務に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 1.受任者は委任の本旨に従い善良な管理者の注意をもって委任事務を処理する義務を負う(民法644条)
- 2.受任者は無償の委任契約においては自己のためにするのと同一の注意で足りる
- 3.受任者の注意義務違反は不法行為責任を生じさせるが、債務不履行責任は生じさせない
- 4.受任者は委任者の指示に必ず従わなければならず、独立した判断は認められない
解説
正解
正解は選択肢1です。
各選択肢の解説
選択肢1 → ✅正解
民法644条は「受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う」と規定しています。
選択肢2 → ❌誤り
委任が有償か無償かを問わず、受任者は善管注意義務を負います(644条)。これは無償寄託(659条「自己の財産に対するのと同一の注意」)と異なる重要な点です。
選択肢3 → ❌誤り
注意義務違反は債務不履行責任の根拠となります(415条)。
選択肢4 → ❌誤り
受任者は委任者の指示に従う原則ですが、「委任の本旨」に照らし、独立した専門的判断が許される場合もあります(弁護士・医師等)。
背景知識
善管注意義務(善良な管理者の注意義務)は、その者の職業・立場・地位に応じて社会通念上要求される注意義務で、当事者の能力に応じる「自己のためにする注意」よりも高度なものとされます。委任契約は信頼関係に基づく契約のため、有償・無償を問わず善管注意義務が課されます。これは無償寄託(自己と同一の注意)との顕著な違いです。違反すると債務不履行(415条)として損害賠償責任を負います。
学習アドバイス
善管注意義務は契約類型ごとに異なります。委任(有償・無償とも善管)、寄託(有償善管・無償自己)、留置権(善管)の比較は頻出です。
まとめ
- 受任者は善管注意義務を負う(644条)
- 有償・無償を問わず善管(無償寄託と異なる)
- 違反は債務不履行責任の対象