【問56】ビジネス実務法務検定3級 練習問題|転貸借と賃貸人の承諾
民法(債権・契約) 問16/36難易度B(標準)
問題文
賃借人による無断転貸借に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 1.賃借人は賃貸人の承諾なくして第三者に賃借物を転貸することができる
- 2.賃貸人の承諾なき無断転貸でも、転貸人と転借人の間の契約は無効である
- 3.賃借人が賃貸人の承諾を得ずに転貸し、第三者に使用収益させたときは、賃貸人は契約を解除できる(民法612条)
- 4.賃貸人の承諾なき転貸は、賃貸人が背信的行為と認められない事情を立証しない限り解除できる
解説
正解
正解は選択肢3です。
各選択肢の解説
選択肢1 → ❌誤り
民法612条1項は「賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない」と規定しています。
選択肢2 → ❌誤り
無断転貸でも、賃借人(転貸人)と第三者(転借人)の間の契約自体は有効に成立します。賃貸人との関係で対抗できないだけです。
選択肢3 → ✅正解
民法612条2項は「賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる」と規定しています。
選択肢4 → ❌誤り
判例(最判昭28・9・25)は信頼関係破壊の理論に基づき、背信的行為と認めるに足らない特段の事情があるときは解除できないとしています。立証責任は賃借人にあります。
背景知識
無断転貸・無断譲渡は賃貸借の基礎にある人的信頼関係を破壊するため解除原因とされます(612条2項)。しかし判例は信頼関係破壊理論を採り、賃貸人と賃借人の信頼関係を破壊しない特段の事情(賃借人の特殊な事情、転借人と賃借人の人的関係等)があれば解除を認めない立場をとっています。立証責任は背信性なしを主張する賃借人側が負います。
学習アドバイス
信頼関係破壊理論は判例法理として頻出です。条文の原則と判例による修正を組み合わせて理解しましょう。立証責任の所在も問われやすいです。
まとめ
- 賃借権の譲渡・転貸には賃貸人の承諾が必要(612条1項)
- 無断転貸は解除原因(612条2項)
- 信頼関係破壊なしを賃借人が立証すれば解除不可(判例)