【問49】ビジネス実務法務検定3級 練習問題|売買における同時履行の抗弁権
問題文
売買契約における同時履行の抗弁権に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 1.同時履行の抗弁権は売買契約以外の双務契約にも認められる権利である
- 2.同時履行の抗弁権を行使した場合、債務者は履行遅滞責任を負う
- 3.相手方が履行の提供をしていなくても、同時履行の抗弁権は主張できない
- 4.同時履行の抗弁権は単なる主張であり、訴訟上は引換給付判決にはならない
解説
正解
正解は選択肢1です。
各選択肢の解説
選択肢1 → ✅正解
民法533条は「双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行(債務の履行に代わる損害賠償の債務の履行を含む。)を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる」と規定しており、双務契約一般に認められます。
選択肢2 → ❌誤り
同時履行の抗弁権の存在自体が履行遅滞の違法性を阻却するため、行使していても履行遅滞責任は負いません。
選択肢3 → ❌誤り
同時履行の抗弁権は、相手方が履行の提供をするまで自己の履行を拒める権利ですから、相手方が未提供のときに主張できる権利です。
選択肢4 → ❌誤り
同時履行の抗弁権が認められると、訴訟上は引換給付判決(被告に対し原告から目的物の引渡しを受けるのと引換えに金銭を支払えとの判決)が下されます。
background knowledge
同時履行の抗弁権(533条)は、双務契約の対価関係から生じる延期的抗弁権です。双方の債務履行の公平を図るための制度で、売買だけでなく賃貸借・請負・委任など全ての双務契約に妥当します。改正民法では「債務の履行に代わる損害賠償の債務の履行」も明文で含むこととされました(533条括弧書)。同時履行関係にあると履行遅滞の違法性が阻却され、解除や損害賠償の対象になりません。実務では「相殺の抗弁」と並ぶ重要な防御方法です。
背景知識
同時履行の抗弁権は双務契約の対価関係から生じる延期的抗弁権で、533条は売買・賃貸借・請負など全ての双務契約に適用されます。改正民法では「債務の履行に代わる損害賠償」も含む旨が明示されました。同時履行関係にある間は履行遅滞の違法性が阻却され、訴訟では引換給付判決という特殊な主文が下されます。
学習アドバイス
同時履行の抗弁権は他の権利(留置権・相殺)との比較問題が出題されやすい論点です。引換給付判決の効果と履行遅滞阻却効をセットで覚えましょう。
まとめ
- 同時履行の抗弁権は双務契約一般に認められる
- 行使すれば履行遅滞責任を負わない
- 訴訟では引換給付判決となる