【問224】知的財産管理技能検定2級 練習問題|営業秘密の侵害形態:不正アクセス
問題文
X社の営業秘密である設計図を、アクセス権限のない従業員Yが社内システムへの不正アクセスにより取得した。不正競争防止法上の評価として、最も適切なものはどれか。
- 1.不正アクセス禁止法の違反にとどまり、不正競争防止法の適用を受けることはない
- 2.従業員の行為であるから雇用契約上の問題にとどまり、不正競争には当たらない
- 3.不正アクセスによる取得は4号の不正の手段に当たり、従業員でも同じである
- 4.差止めを求めるには、Yが設計図を第三者に開示した事実の立証が必要である
解説
正解
正解は選択肢3です。
各選択肢の解説
選択肢1 → ❌誤り
不正アクセス禁止法と不正競争防止法は別個の制度であり、いずれか一方に吸収される関係にはありません。営業秘密を不正アクセスによって取得すれば、2条1項4号の不正競争として差止め・損害賠償の対象にもなります。
選択肢2 → ❌誤り
2条1項4号は行為者を限定しておらず、雇用関係の有無は要件ではありません。就業規則違反や債務不履行の責任とは別に、不正競争防止法上の責任が生じます。
選択肢3 → ✅正解
不正アクセス行為は保有者の管理を害する行為として「その他の不正の手段」に当たり、これによる営業秘密の取得は2条1項4号の不正競争となります。4号は行為者の属性を限定していないため、社外の第三者でも従業員でも扱いは変わりません。
選択肢4 → ❌誤り
3条の差止請求は、不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがあることを要件とします。4号は不正な手段による取得行為自体を不正競争としているため、第三者への開示は要件ではありません。
背景知識
不正アクセス行為は、保有者の管理を害する行為として「不正の手段」の典型に位置づけられ、これによる営業秘密の取得は2条1項4号の不正競争に当たります。4号は行為者の属性を限定していないため、社外の第三者だけでなく、アクセス権限のない従業員による行為も対象になります。不正アクセス禁止法違反や刑事責任と、不正競争防止法上の民事責任は併存し得ます。救済としては3条の差止請求と4条の損害賠償請求があります。
学習アドバイス
行為者が従業員かどうかではなく、取得の手段が不正かどうかで4号該当性を判断します。正当に示された営業秘密を図利加害目的で使用・開示する場合は7号の問題になる点も対比しておきましょう。
まとめ
- 不正アクセスによる営業秘密の取得は2条1項4号の不正競争に当たる
- 4号は行為者を限定せず、従業員による不正アクセスも対象となる
- 不正アクセス禁止法違反と不正競争防止法上の民事責任は併存し得る