【問210】知的財産管理技能検定2級 練習問題|パリ条約における出願人の国籍と同盟国民扱い
国際条約 問24/24難易度C(難しい)
問題文
パリ同盟に属しないB国の国籍を有する者が、パリ同盟国であるA国に住所を有している。この者がパリ同盟国であるC国で特許出願をする場合のパリ条約上の扱いとして、最も適切なものはどれか。
- 1.B国が同盟国でない以上、同盟国に住所があってもパリ条約の保護は受けられない。
- 2.A国に住所があるため同盟国の国民とみなされ、C国で内国民待遇を受ける。
- 3.B国が日本と相互主義の取決めを結んでいる場合に限り、保護の対象となる。
- 4.保護を求めるC国自体に住所又は営業所がなければ、内国民待遇は受けられない。
解説
正解
正解は選択肢2です。
各選択肢の解説
選択肢1 → ❌誤り
国籍だけで判断している点が誤りです。パリ条約3条は、同盟に属しない国の国民であっても、いずれかの同盟国の領域内に住所又は現実かつ真正の営業所を有する者を同盟国の国民とみなしています。
選択肢2 → ✅正解
パリ条約3条のみなし規定により同盟国の国民として扱われ、2条(1)の内国民待遇を受けます。住所がある国と保護を求める国が異なっていても差し支えありません。
選択肢3 → ❌誤り
パリ条約の適用に相互主義の取決めは要件とされていません。条約が定める国籍又は住所・営業所の要件を満たすかどうかだけで判断されます。
選択肢4 → ❌誤り
パリ条約2条(2)は、内国民待遇を享有するために保護が請求される国に住所又は営業所を有することを条件としてはならないと定めています。求められるのはいずれかの同盟国に住所等があることです。
背景知識
パリ条約は2条で同盟国の国民に内国民待遇を与え、3条でその対象者を広げています。3条は「同盟に属しない国の国民」を対象とする規定で、いずれかの同盟国の領域内に住所又は現実かつ真正の工業上若しくは商業上の営業所を有する者を同盟国の国民とみなします。逆に、同盟国の国民であれば住所がどこにあるかを問わず2条によって保護されるので、3条を持ち出す必要はありません。この2条と3条の役割分担が問われます。
学習アドバイス
まず出願人の国籍が同盟国かどうかを見て、同盟国なら2条、非同盟国なら3条のみなし規定、と切り分けて考えましょう。
まとめ
- 同盟国の国民は住所を問わず2条により内国民待遇を受ける
- 非同盟国の国民でも同盟国に住所・営業所があれば3条で同盟国民とみなされる
- 保護を求める国自体に住所・営業所を持つことを条件にはできない(2条(2))