【問400】貸金業務取扱主任者 練習問題|制限行為能力者
問題文
制限行為能力者の行為の取消しに関する次の記述のうち、民法の規定に照らし、正しいものはどれか。
- 1.制限行為能力者が行った取り消しうる行為は、追認がなされれば当初から有効な行為であったものとみなされ、遡及効が認められない。
- 2.制限行為能力者の行為を取り消した場合、制限行為能力者は受け取った利益のうち現に利益を受けている限度(現存利益)で返還義務を負う。
- 3.取り消しうる行為について追認できる者は、制限行為能力者の保護者に限られ、制限行為能力者本人は追認することができない。
- 4.制限行為能力者の相手方が催告をした場合に確答がなかったときは、その行為は取り消されたものとみなされる。
解説
正解
正解は選択肢2です。制限行為能力者は現存利益の返還義務のみ負います。
各選択肢の解説
選択肢1「追認に遡及効が認められない」→ ❌誤り
民法第122条は、取り消しうる行為は取消しまたは追認できるとし、民法第116条の規定(追認の遡及効)を準用しています。取消しうる行為が追認された場合、行為の時にさかのぼって有効とみなされます(遡及効あり)。
選択肢2「制限行為能力者は現存利益のみ返還」→ ✅正解
民法第121条の2第2項は、制限行為能力者が取消しを原因として給付を受けた利益を返還する場合には、「現に利益を受けている限度」(現存利益)において返還すればよいと規定しています。消費してしまった部分については返還不要であり、これは制限行為能力者保護のための特則です。
選択肢3「追認できるのは保護者のみ」→ ❌誤り
民法第124条第1項は、取り消しうる行為の追認は「取消しの原因となった状況が消滅した後」に、「取消権を有する者」が行うと規定しています。制限行為能力者本人も能力を回復した後(成年後見終了後など)に単独で追認することができます。
選択肢4「催告への不確答は取消しとみなされる」→ ❌誤り
民法第20条の催告に対して確答がなかった場合の効果は、相手方が誰に催告したかによって異なります。保護者(後見人・保佐人等)に催告して確答がなかった場合は追認とみなされます(同条第1項・第2項)。制限行為能力者本人に催告して確答がなかった場合は取消しとみなされます(同条第4項)。「常に取消しとみなされる」わけではありません。
背景知識
取消しの効果と制限行為能力者の返還義務をまとめます。
| 返還義務者 | 返還の範囲 |
|---|---|
| 制限行為能力者 | 現存利益のみ(民法第121条の2第2項) |
| 能力者(相手方) | 全額(民法第121条の2第1項) |
この非対称な扱いが制限行為能力者保護の核心です。相手方は善意であっても全額を返還しなければなりませんが、制限行為能力者は現存利益のみで足ります。
学習アドバイス
制限行為能力者の「現存利益のみの返還」は貸金業務にも直結する重要知識です。催告の効果(追認みなし・取消みなし)も誰に催告するかで異なる点を整理して覚えましょう。
まとめ
- 追認には遡及効があり、行為時にさかのぼって有効とみなされる(民法第122条)
- 制限行為能力者は取消後の返還義務について現存利益のみ(民法第121条の2第2項)
- 催告の効果は催告相手によって異なる(保護者への不確答=追認みなし等)(民法第20条)