【問395】貸金業務取扱主任者 練習問題|相続
民法・民事訴訟法 問89/114難易度C(難しい)
問題文
相続と債務に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例に照らし、最も適切なものはどれか。
- 1.被相続人の金銭債務は、遺産分割によって初めて各相続人に帰属し、遺産分割前は債権者は誰にも請求できない。
- 2.相続人の一人が「自分が全ての債務を引き受ける」旨の遺産分割協議をした場合、当然に債権者もこれに拘束される。
- 3.相続人全員が相続放棄をした場合、被相続人の債務は消滅する。
- 4.可分債務(金銭債務等)は、相続開始と同時に当然に法定相続分に応じて各相続人に分割して帰属する。
解説
正解
正解は選択肢4です。判例上、可分債務は相続開始と同時に法定相続分に応じて当然分割されます。
各選択肢の解説
選択肢1「遺産分割前は債権者が誰にも請求できない」→ ❌誤り
判例(最判昭和34年6月19日)は、金銭債務等の可分債務は、相続開始と同時に法定相続分に応じて各相続人に当然分割されると解しています。遺産分割を待たずに各相続人の相続分に応じた負担部分が確定するため、債権者は各相続人にその負担部分を請求できます。
選択肢2「遺産分割協議の内容が当然に債権者に対しても効力を持つ」→ ❌誤り
相続人間の遺産分割協議は当事者間の契約であり、第三者である債権者を当然に拘束するものではありません。相続人の一人が債務全部を引き受ける旨の協議があっても、債権者はそれに拘束されず、他の相続人にも法定相続分に応じた請求ができます(民法第902条の2参照)。
選択肢3「相続人全員が放棄すれば債務は消滅する」→ ❌誤り
相続人全員が相続放棄をしても、被相続人の債務は消滅しません。この場合、相続財産法人が成立し(民法第951条)、相続財産管理人(相続財産清算人)が選任されて、残余財産から債務の弁済等が行われます。
選択肢4「可分債務は相続開始時に当然分割される」→ ✅正解
判例(最判昭和34年6月19日)の立場として、金銭債務等の可分債務は相続開始と同時に法定相続分に従って各相続人に分割して帰属します。遺産分割協議を経ずとも各相続人が法定相続分に応じた債務を負担することになります。
背景知識
相続における債務の取り扱いをまとめます。
- 可分債務(金銭債務等):相続開始と同時に法定相続分で分割帰属(判例)
- 不可分債務:相続人全員が連帯して負担
- 連帯債務:各相続人が法定相続分に応じた部分を負担
遺産分割協議による債務の引受けは相続人間では有効ですが、債権者の同意なしに債権者に対抗できません(免責的債務引受には債権者の承諾が必要)。
学習アドバイス
「可分債務は相続開始と同時に当然分割」という判例法理は試験頻出です。遺産分割協議による変更は相続人間のみで効力があり、債権者には対抗できない点も重要です。
まとめ
- 可分債務(金銭債務等)は相続開始と同時に法定相続分で各相続人に分割帰属(判例)
- 遺産分割協議で一人が全債務を引き受けても、債権者に対しては対抗できない
- 相続人全員が放棄しても債務は消滅せず、相続財産法人が成立する(民法第951条)