【問392】貸金業務取扱主任者 練習問題|相続
民法・民事訴訟法 問86/114難易度B(標準)
問題文
相続の承認・放棄に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし、誤っているものはどれか。
- 1.相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、相続の承認または放棄をしなければならない。
- 2.相続放棄は、相続開始後に家庭裁判所に申述することによって行う必要がある。
- 3.限定承認は、相続人が複数いる場合には、全員が共同して行わなければならない。
- 4.単純承認をした相続人は、被相続人の財産だけでなく、被相続人の一切の権利義務を無限に承継する。
解説
正解
正解は選択肢1です。選択肢1の「承認または放棄をしなければならない」という表現は不正確です。民法第915条は、熟慮期間内に単純承認・限定承認・放棄のいずれかを選択することを求めており、「承認または放棄」という二択の表現は限定承認の選択肢を除外しており誤りです。
各選択肢の解説
選択肢1「3か月以内に承認または放棄しなければならない」→ ❌誤り
民法第915条第1項は、相続人は「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」に単純承認・限定承認・放棄のいずれかをしなければならないと規定しています。この期間内に何もしなければ単純承認したとみなされます(民法第921条第2号)。「承認または放棄をしなければならない」という表現は、限定承認を含まない点で不正確です。
選択肢2「相続放棄は家庭裁判所への申述が必要」→ ✅正解
民法第938条は、相続の放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならないと規定しています。私的な意思表示のみでは放棄の効力は生じません。
選択肢3「限定承認は相続人全員の共同申述が必要」→ ✅正解
民法第923条は、相続人が数人あるときは、限定承認は共同相続人の全員が共同してのみこれをすることができると規定しています。一部の相続人だけでは限定承認できません。
選択肢4「単純承認は権利義務を無限に承継」→ ✅正解
民法第920条は、相続人は単純承認をしたときは、無限に被相続人の権利義務を承継すると規定しています。被相続人の債務も全額承継することになります。
背景知識
相続の三つの選択肢を整理します。
- 単純承認(民法第920条):権利義務を無限に承継。熟慮期間経過で擬制
- 限定承認(民法第922条):相続財産の限度で債務を承継。全員共同で家裁に申述
- 相続放棄(民法第938条):相続しなかったものとみなされる。家裁に申述
学習アドバイス
熟慮期間は「3か月」、限定承認は「全員共同」、放棄は「家庭裁判所への申述」という三つのキーワードを確実に覚えましょう。何もしないと単純承認とみなされる点も重要です。
まとめ
- 熟慮期間は相続開始を知った時から3か月(民法第915条)
- 熟慮期間内に何もしなければ単純承認が擬制される(民法第921条第2号)
- 限定承認は相続人全員が共同して家庭裁判所に申述(民法第923条・第924条)