【問390】貸金業務取扱主任者 練習問題|質権
民法・民事訴訟法 問84/114難易度B(標準)
問題文
動産質権に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし、誤っているものはどれか。
- 1.動産質権の設定には、質権者への質物の引渡しが必要である。
- 2.動産質権者は、債務の弁済がなされるまで質物を留置することができる。
- 3.動産質権者は、被担保債権について弁済を受けられない場合、直ちに質物を競売することができる。
- 4.動産質権者が質物を第三者に賃貸した場合、特段の事情がなければ設定者に対して損害賠償責任を負う。
解説
正解
正解は選択肢3です。動産質権者が質物を競売するには、一定の手続が必要であり「直ちに」競売できるわけではありません。
各選択肢の解説
選択肢1「質物の引渡しが成立要件」→ ✅正解
民法第344条は、「質権の設定は、債権者にその目的物を引き渡すことによって、その効力を生ずる」と規定しています。質権は要物契約であり、質物の引渡しが成立要件です。
選択肢2「弁済まで質物を留置できる(留置的効力)」→ ✅正解
動産質権者は被担保債権の弁済を受けるまで質物を留置することができます(民法第347条)。これを質権の留置的効力といいます。債務者(質権設定者)は弁済をしなければ質物の返還を請求できません。
選択肢3「直ちに質物を競売できる」→ ❌誤り
動産質権者が優先弁済を受けるためには、民事執行法の規定に従った競売手続を執る必要があります(民法第354条)。「直ちに」競売できるのではなく、正式な競売手続が必要です。また流質契約(弁済がない場合に質物の所有権を取得する旨の特約)は一般に禁止されています(民法第349条)。
選択肢4「第三者への賃貸で損害賠償責任を負う」→ ✅正解
民法第350条(同法第298条第2項を準用)は、質権者は設定者の承諾を得なければ質物を使用し、賃貸し、又は担保に供することができないと規定しています。無断で賃貸した場合は、設定者の承諾なき利用として善管注意義務違反となり、損害賠償責任を負います。
背景知識
動産質権者の権限と義務をまとめます。
| 行為 | 設定者の承諾 | 根拠 |
|---|---|---|
| 質物の保管 | 不要(義務として保管) | 民法第350条・第298条第1項 |
| 質物の使用 | 必要 | 民法第350条・第298条第2項 |
| 質物の賃貸 | 必要 | 民法第350条・第298条第2項 |
| 転質(責任転質) | 不要 | 民法第348条 |
流質契約(民法第349条)の禁止も重要です。弁済期前に流質契約を結ぶことは禁止されており、弁済期後に合意した場合はこの限りではありません。
学習アドバイス
動産質権者の権限(何ができて何ができないか)を整理しましょう。流質契約の禁止と転質(責任転質)の許容は対比として覚えるとよいです。競売手続の必要性も忘れずに確認してください。
まとめ
- 動産質権は要物契約であり、引渡しが成立要件(民法第344条)
- 質権者は無断で質物を使用・賃貸できず、違反すれば損害賠償責任を負う(民法第350条)
- 質物の競売には民事執行法の手続が必要(民法第354条)