【問389】貸金業務取扱主任者 練習問題|質権
民法・民事訴訟法 問83/114難易度B(標準)
問題文
権利質(民法第362条)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 1.権利質の目的となるのは、財産権のうち金銭債権に限られる。
- 2.指名債権を目的とする質権は、証書の交付がなければ設定することができない。
- 3.指名債権に質権を設定するためには、質権設定について第三債務者に通知するか、または第三債務者の承諾を得る必要がある。
- 4.転質(質物を再度質に入れること)は、質権設定者の承諾がある場合に限り認められる。
解説
正解
正解は選択肢3です。指名債権への質権設定は第三債務者への通知または承諾が必要です。
各選択肢の解説
選択肢1「権利質の目的は金銭債権に限られる」→ ❌誤り
民法第362条は、権利質の目的となる「財産権」について規定しており、金銭債権に限らず、有価証券・株式・著作権・地上権・不動産賃借権など、譲渡可能な財産権一般が対象となります。金銭債権に限定されているわけではありません。
選択肢2「証書の交付がなければ設定できない」→ ❌誤り
民法第363条は、証書がある債権(証書のある債権)については証書の交付が質権の効力発生要件であると規定しています。しかし、指名債権(証書のない債権)については証書の交付は不要です。証書がある債権とない債権で扱いが異なります。
選択肢3「第三債務者への通知または承諾が必要」→ ✅正解
民法第364条は、指名債権を目的とする質権の設定は、第三債務者にその質権設定の事実を通知し、または第三債務者がこれを承諾しなければ、第三債務者その他の第三者に対抗することができないと規定しています。これは債権譲渡の対抗要件(民法第467条)と同様の構造です。
選択肢4「転質は質権設定者の承諾がある場合に限り認められる」→ ❌誤り
民法第348条は転質について規定しており、質権者は設定者の承諾がなくても、責任転質として質物を転質に入れることができます。設定者の承諾なしに認められる「責任転質」と、設定者の承諾が必要な場合の両方があります。
背景知識
権利質の種類と設定要件をまとめます。
| 権利質の種類 | 設定要件 | 第三者対抗要件 |
|---|---|---|
| 指名債権 | 当事者の合意 | 通知または承諾(民法第364条) |
| 証書ある債権 | 証書の交付(民法第363条) | 証書の引渡し |
| 株式 | 株式の引渡し等 | 会社法の規定による |
貸金業務においては、融資の担保として預金債権(指名債権の一種)に質権を設定するケースがあり、実務上重要です。
学習アドバイス
指名債権質の第三者対抗要件「通知または承諾」は、債権譲渡の対抗要件と同じ構造です。セットで覚えると混乱しにくくなります。転質(責任転質)の要件も確認しておきましょう。
まとめ
- 権利質の目的は譲渡可能な財産権全般(金銭債権に限らない)(民法第362条)
- 指名債権質は第三債務者への通知または承諾が第三者対抗要件(民法第364条)
- 証書ある債権質は証書の交付が成立要件(民法第363条)