【問388】貸金業務取扱主任者 練習問題|質権
民法・民事訴訟法 問82/114難易度B(標準)
問題文
不動産質権に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし、誤っているものはどれか。
- 1.不動産質権者は、質権の目的である不動産の用法に従い、その使用及び収益をすることができる。
- 2.不動産質権の存続期間は10年を超えることができず、これより長い期間を定めたときは10年に短縮される。
- 3.不動産質権者は、質物の使用・収益ができる代わりに、管理費用・利息を請求することができない。
- 4.不動産質権の設定は当事者の合意のみで成立し、目的物の引渡しは対抗要件にすぎない。
解説
正解
正解は選択肢4です。不動産質権の設定には目的物の引渡しが成立要件(要物契約)ではなく登記が対抗要件ですが、質権の成立自体は合意と引渡しが必要です。
各選択肢の解説
選択肢1「不動産質権者は使用・収益できる」→ ✅正解
民法第356条は、不動産質権者は質権の目的である不動産の用法に従い、その使用及び収益をすることができると規定しています。これは動産質権者には認められない、不動産質権特有の権利です。
選択肢2「存続期間は最長10年」→ ✅正解
民法第360条第1項は、不動産質権の存続期間は10年を超えることができないと規定しています。当事者がこれより長い期間を定めたときは10年に短縮されます。更新は可能ですが、更新後の期間も10年を超えることができません。
選択肢3「管理費用・利息を請求できない」→ ✅正解
民法第358条は、不動産質権者は管理費用を支払い、かつ、質物から生じた果実を受け取る権利があるが、他方で被担保債権の利息を請求することができないと規定しています。使用収益できる代わりに利息請求が制限されます。
選択肢4「引渡しは対抗要件にすぎない」→ ❌誤り
不動産質権も質権の一種であり、民法第344条により「質権の設定は、債権者にその目的物を引き渡すことによって、その効力を生ずる」と規定されています。すなわち引渡しは質権の成立要件(効力発生要件)であり、対抗要件ではありません。なお第三者への対抗要件は登記です(民法第177条)。
背景知識
不動産質権の特徴を動産質と比較します。
| 比較項目 | 動産質 | 不動産質 |
|---|---|---|
| 目的物の使用収益 | 不可 | 可(民法第356条) |
| 存続期間の制限 | なし | 最長10年(民法第360条) |
| 利息請求 | 可 | 不可(民法第358条) |
| 対抗要件 | 占有継続 | 登記(民法第177条) |
不動産質権は抵当権の代替手段として利用されますが、実務上は抵当権が主流です。
学習アドバイス
不動産質権の「10年」「利息不請求」「使用収益可」という3点セットを覚えましょう。引渡しが「成立要件」か「対抗要件」かという区別は法的に重要です。
まとめ
- 不動産質権者は目的不動産を使用・収益できる(民法第356条)
- 不動産質権の存続期間は最長10年(民法第360条)
- 不動産質権者は利息を請求できない代わりに使用収益が認められる(民法第358条)