【問386】貸金業務取扱主任者 練習問題|抵当権
民法・民事訴訟法 問80/114難易度C(難しい)
問題文
抵当権と賃借権の関係に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例に照らし、最も適切なものはどれか。
- 1.抵当権設定登記後に設定された賃借権は、すべて抵当権者及び競落人に対抗することができない。
- 2.抵当権設定登記後に設定された短期賃貸借は、民法改正後も原則として競落人に対抗できる。
- 3.建物賃借人は、抵当権設定登記前から賃借権の登記を備えていれば、競落人に賃借権を対抗できる。
- 4.抵当不動産の競売において、賃借人が明渡しを猶予される期間は、競売手続開始決定時から1年間である。
解説
正解
正解は選択肢3です。抵当権設定登記前に登記された賃借権は、競落人に対抗できます。
各選択肢の解説
選択肢1「登記後の賃借権はすべて対抗できない」→ ❌誤り
原則として抵当権設定登記後に設定された賃借権は競落人に対抗できませんが(民法第177条・民法第605条)、例外として建物賃借人には明渡猶予制度(民法第395条)が認められています。「すべて」という絶対的表現は誤りです。
選択肢2「短期賃貸借は改正後も対抗できる」→ ❌誤り
2003年の民法改正により、旧民法第395条の短期賃貸借保護制度は廃止されました。現行法では抵当権設定後に締結された賃貸借は競落人に対抗できないのが原則です。ただし民法第395条の明渡猶予制度(6か月)が新設されました。
選択肢3「登記前から登記を備えた賃借人は対抗できる」→ ✅正解
民法第605条・第177条により、賃借権の登記を備えている賃借人は第三者(競落人を含む)に賃借権を対抗できます。抵当権設定登記より前に賃借権の登記を備えていれば、競落人に対しても賃借権を主張できます。
選択肢4「明渡猶予は競売手続開始決定時から1年間」→ ❌誤り
現行民法第395条第1項は、抵当建物使用者は、競売手続の開始前から使用しており、かつ競落人の買受けの時から6か月を経過するまでは、競落人に対して建物の引渡しを拒むことができると規定しています。「1年間」ではなく「6か月」です。
背景知識
抵当権と賃借権の関係における対抗関係は次のとおりです。
| 賃借権の種類 | 競落人への対抗 |
|---|---|
| 抵当権設定登記前に登記された賃借権 | 対抗可 |
| 抵当権設定登記後に登記された賃借権 | 原則対抗不可 |
| 明渡猶予制度(民法第395条) | 買受時から6か月間の使用継続可 |
旧短期賃貸借保護制度(2003年廃止)との混同に注意が必要です。
学習アドバイス
抵当権設定登記の前後で賃借権の対抗力が変わる点を整理しましょう。明渡猶予制度の「6か月」は頻出の数字です。旧法の「短期賃貸借」が廃止された点も確認しておいてください。
まとめ
- 抵当権設定登記前に登記された賃借権は競落人に対抗可能(民法第177条)
- 明渡猶予制度により、賃借人は買受時から6か月間の明渡しを拒める(民法第395条)
- 旧短期賃貸借保護制度は2003年の民法改正により廃止された