【問385】貸金業務取扱主任者 練習問題|抵当権
民法・民事訴訟法 問79/114難易度C(難しい)
問題文
根抵当権に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし、正しいものはどれか。
- 1.根抵当権は、一つの債権のみを担保するために設定するものであり、複数の債権を担保することはできない。
- 2.根抵当権の元本は、根抵当権者または設定者のいずれか一方の請求により確定させることができる。
- 3.根抵当権は、被担保債権が消滅しても当然には消滅せず、付従性が制限されている。
- 4.根抵当権が設定された不動産を第三者に売却した場合、根抵当権は当然に消滅する。
解説
正解
正解は選択肢3です。根抵当権は通常の抵当権と異なり付従性が制限されています。
各選択肢の解説
選択肢1「一つの債権のみを担保する」→ ❌誤り
根抵当権(民法第398条の2)は、一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度で担保するものです。継続的取引から生じる複数の債権(将来生じる債権も含む)を包括的に担保することが目的であり、一つの債権のみを担保するものではありません。
選択肢2「一方のみの請求で元本確定できる」→ ❌誤り
根抵当権の元本確定請求については、民法第398条の19に規定があります。根抵当権設定者は、根抵当権の設定時から3年を経過したときに元本の確定を請求できます(同条第1項)。根抵当権者は任意に確定請求ができます(同条第2項)。しかし「一方のみの請求で当然に確定する」は不正確であり、設定者の確定請求には期間制限等があります。
選択肢3「付従性が制限されており被担保債権消滅でも消滅しない」→ ✅正解
通常の抵当権は被担保債権が消滅すれば付従性により消滅しますが、根抵当権は特定の債権に付従しません(民法第398条の2第1項)。元本確定前は、担保すべき債権が全て消滅しても根抵当権自体は消滅せず、新たな債権が生じれば再び担保します。これを「付従性の制限」といいます。
選択肢4「売却により根抵当権は当然消滅する」→ ❌誤り
根抵当権が設定された不動産を第三者に売却しても、根抵当権は当然には消滅しません。根抵当権は物権であり、不動産の所有者が変わっても根抵当権は存続します(随伴性の制限があるが消滅はしない)。根抵当権の消滅には、登記の抹消や弁済等が必要です。
背景知識
根抵当権(民法第398条の2〜第398条の22)は、継続的な取引関係(銀行融資・商取引等)を担保するために設けられた制度です。
| 比較項目 | 普通抵当権 | 根抵当権 |
|---|---|---|
| 付従性 | あり | 制限(元本確定前) |
| 随伴性 | あり | なし(元本確定前) |
| 担保債権 | 特定の債権 | 一定範囲の不特定債権 |
| 極度額 | 特に不要 | 必須(民法第398条の2) |
学習アドバイス
根抵当権の特徴である「付従性の制限」と「随伴性の制限」は試験頻出です。普通の抵当権との違いを表で比較して覚えることが効果的です。極度額の設定が必須である点も押さえましょう。
まとめ
- 根抵当権は一定範囲の不特定債権を極度額の限度で担保する(民法第398条の2)
- 付従性が制限され、被担保債権が消滅しても根抵当権は消滅しない
- 根抵当権の元本確定により、その後は通常の抵当権に近い性質となる