【問384】貸金業務取扱主任者 練習問題|抵当権
民法・民事訴訟法 問78/114難易度B(標準)
問題文
抵当権の効力が及ぶ範囲に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし、誤っているものはどれか。
- 1.抵当権は、抵当不動産に付加して一体となった物(付加一体物)にも効力が及ぶ。
- 2.抵当権設定後に抵当不動産に附属させた従物にも、原則として抵当権の効力が及ぶ。
- 3.抵当権は被担保債権の元本だけでなく、利息・損害金についても一定の範囲で担保する。
- 4.抵当権の被担保債権の範囲として、最後の2年分を超える利息・損害金についても、後順位抵当権者がいる場合でも優先弁済を受けることができる。
解説
正解
正解は選択肢4です。後順位抵当権者がいる場合、最後の2年分を超える利息等は優先弁済を受けられません。
各選択肢の解説
選択肢1「付加一体物に抵当権の効力が及ぶ」→ ✅正解
民法第370条は「抵当権は、抵当地の上に存する建物を除き、その目的である不動産に付加して一体となった物に及ぶ」と規定しています。建物に付加された増築部分や庭石等、不動産に付加して一体となったものには当然に効力が及びます。
選択肢2「設定後に附属させた従物にも効力が及ぶ」→ ✅正解
判例(最判昭和44年3月28日)は、抵当権設定後に抵当不動産に附属させた従物にも抵当権の効力が及ぶと解しています。民法第87条の従物は主物の処分に従うという原則と相まって、後から附属させた従物にも抵当権の効力が及びます。
選択肢3「利息・損害金にも担保効力が及ぶ」→ ✅正解
民法第375条は、抵当権者は元本のほか利息・損害金についても抵当権を行使できると規定しています(ただし後順位抵当権者等に対しては2年分に制限)。
選択肢4「後順位抵当権者がいても2年超の利息も優先弁済可」→ ❌誤り
民法第375条第1項は、抵当権者が利息・損害金について後順位抵当権者等に対抗できるのは、最後の2年分に限ると規定しています。後順位抵当権者がいる場合、最後の2年分を超える利息・損害金については、後順位抵当権者に劣後します。
背景知識
抵当権の被担保債権の範囲(民法第375条)の利息制限のポイントは次のとおりです。
- 後順位抵当権者なし:利息・損害金のすべてに優先弁済
- 後順位抵当権者あり:最後の2年分のみ後順位に優先
この制限は「後順位抵当権者等の保護」のために設けられています。後順位抵当権者は、先順位の利息が無制限に膨らむと弁済を受けられなくなるため、2年分に制限することで利益を保護しています。
学習アドバイス
「2年分」という数字は試験頻出です。後順位抵当権者がいる場合とない場合で異なる扱いになる点を確実に理解しましょう。また付加一体物と従物の違いも整理しておくと安心です。
まとめ
- 抵当権は付加一体物・従物にも効力が及ぶ(民法第370条、判例)
- 後順位抵当権者がいる場合、利息・損害金は最後の2年分のみ優先弁済(民法第375条)
- 後順位抵当権者がいなければ利息・損害金のすべてに優先弁済が可能