【問382】貸金業務取扱主任者 練習問題|抵当権
民法・民事訴訟法 問76/114難易度B(標準)
問題文
抵当権の物上代位に関する次の記述のうち、民法の規定に照らし、正しいものはどれか。
- 1.抵当権者は、抵当不動産が売却された場合の売買代金に対して、物上代位権を行使することができる。
- 2.抵当権者が賃料に物上代位権を行使するためには、賃料が支払われる前に差押えを行う必要はない。
- 3.抵当権の物上代位権を行使するためには、その金銭等が払渡し又は引渡しされる前に差し押さえなければならない。
- 4.物上代位の対象となる金銭等が第三者に引き渡された後でも、抵当権者は物上代位権を行使できる。
解説
正解
正解は選択肢3です。物上代位権の行使には払渡し・引渡し前の差押えが必要です。
各選択肢の解説
選択肢1「売買代金にも物上代位できる」→ ❌誤り
民法第304条(担保物権の物上代位)は、「売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物」を物上代位の対象としています。しかし判例は、抵当不動産の売買代金については特定性が維持されないとして物上代位の対象とならないとしています(売却による代金は対象外)。
選択肢2「差押えなしに賃料への物上代位が可能」→ ❌誤り
民法第304条第1項ただし書きは、「その払渡し又は引渡しの前に差し押さえなければならない」と規定しています。賃料への物上代位権を行使するためには、賃料の支払前に差押えが必要です。
選択肢3「払渡し・引渡し前に差押えが必要」→ ✅正解
民法第304条第1項ただし書きの規定どおり、物上代位権の行使には払渡し又は引渡しの前に差し押さえることが必要です。これは物上代位の対象となる金銭等の特定性を維持するためです。
選択肢4「引渡し後でも物上代位権を行使できる」→ ❌誤り
民法第304条第1項ただし書きにより、金銭等が払渡し又は引渡しされた後は物上代位権の行使はできません。特定性が失われることにより、抵当権の効力が及ばなくなります。
背景知識
物上代位(民法第304条)とは、担保物権の目的物が滅失・損傷・賃貸等された場合に、それによって生じた金銭等に担保権の効力が及ぶことです。抵当権での物上代位の主な対象は次のとおりです。
| 対象 | 物上代位の可否 |
|---|---|
| 賃料 | 可(差押え要件あり) |
| 火災保険金 | 可(差押え要件あり) |
| 滅失による損害賠償金 | 可(差押え要件あり) |
| 売買代金 | 不可(判例) |
学習アドバイス
物上代位の「払渡し前の差押え」要件は頻出です。また、売買代金が対象外である点(判例)も押さえておきましょう。差押えの目的は金銭等の「特定性の維持」であることも理解しておくと記憶に定着しやすいです。
まとめ
- 物上代位権の行使には払渡し・引渡し前の差押えが必要(民法第304条第1項ただし書き)
- 抵当不動産の売買代金は物上代位の対象とならない(判例)
- 賃料・火災保険金・損害賠償金は物上代位の対象となる