【問380】貸金業務取扱主任者 練習問題|不法行為
問題文
失火責任法(失火ノ責任ニ関スル法律)及び不法行為に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 1.失火ノ責任ニ関スル法律は、民法第709条の不法行為責任を失火の場合には完全に排除するものであり、失火者は一切の損害賠償責任を負わない。
- 2.失火ノ責任ニ関スル法律は失火者の重大な過失がない場合に損害賠償責任を免除するが、使用者責任(民法第715条)には適用されない。
- 3.失火による損害について、失火者に重大な過失があった場合、民法の不法行為規定に基づく損害賠償責任を負う。
- 4.失火ノ責任ニ関スル法律は、軽過失の失火について賠償責任を全面的に否定しており、失火者が加入する火災保険も免責となる。
解説
正解
正解は選択肢3です。失火者に重大な過失がある場合は、通常の不法行為責任を負います。
各選択肢の解説
選択肢1「失火者は一切の損害賠償責任を負わない」→ ❌誤り
失火ノ責任ニ関スル法律(失火責任法)は、失火者に「重大な過失」がない場合に損害賠償責任を免除するものです。重大な過失がある場合には責任を負います。また軽過失でも債務不履行責任(賃借人が賃貸物件を失火で焼失した場合等)には同法は適用されません。
選択肢2「使用者責任には適用されない」→ ❌誤り
判例(最判昭和42年6月27日)は、失火責任法は使用者責任にも適用されると解しています。すなわち被用者の失火について、被用者自身が軽過失であれば、使用者も責任を免れます。使用者が責任を負うためには、被用者の失火に重大な過失があることが必要です。
選択肢3「重大な過失がある場合は不法行為責任を負う」→ ✅正解
失火責任法は「民法第709条の規定は、失火の場合には適用せず。但し、失火者に重大な過失ありたる場合においてはこの限りにあらず」と規定しています。したがって軽過失の失火は不法行為責任を免れますが、重大な過失がある場合は民法第709条の責任を負います。
選択肢4「失火者の火災保険も免責となる」→ ❌誤り
失火責任法は不法行為に基づく損害賠償責任を制限するものですが、火災保険契約の保険金支払義務とは別の問題です。火災保険は契約に基づく保険会社の義務であり、失火責任法によって当然に免責となるものではありません。
背景知識
失火責任法は明治32年に制定された特別法です。木造家屋が多い日本の実情(延焼リスク)を踏まえ、軽過失の失火について損害賠償責任を免除することで失火者を保護する趣旨です。
| 過失の種類 | 不法行為責任 | 債務不履行責任 |
|---|---|---|
| 軽過失 | 免責(失火責任法) | 適用あり(通常通り) |
| 重大な過失 | 責任あり | 責任あり |
「重大な過失」とは通常人が払うべき注意を著しく欠くことをいい、単なる不注意(軽過失)とは区別されます。
学習アドバイス
失火責任法の特則(軽過失免責、重過失は責任あり)と、使用者責任への適用(判例により適用あり)を確認しておきましょう。「債務不履行には適用なし」という点も重要です。
まとめ
- 失火責任法は軽過失の失火について不法行為責任を免除する
- 重大な過失がある失火者は民法第709条の責任を負う
- 使用者責任(民法第715条)にも失火責任法が適用される(判例)