【問379】貸金業務取扱主任者 練習問題|不法行為
民法・民事訴訟法 問73/114難易度C(難しい)
問題文
不法行為の損害賠償に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例に照らし、最も適切なものはどれか。
- 1.不法行為による損害賠償請求権の消滅時効は、損害及び加害者を知った時から一律に3年間である。
- 2.被害者側に過失があった場合(過失相殺)、裁判所は必ず過失相殺しなければならず、その裁量は認められない。
- 3.不法行為による損害賠償債務の履行遅滞は、被害者からの催告なしに不法行為時から生じる。
- 4.被害者が死亡した場合、その相続人は被害者自身の慰謝料請求権を相続することができない。
解説
正解
正解は選択肢3です。不法行為による損害賠償債務は不法行為時から当然に遅延損害金が発生します。
各選択肢の解説
選択肢1「消滅時効は一律3年」→ ❌誤り
民法第724条・第724条の2により、人の生命・身体を害する不法行為による損害賠償請求権の時効は損害及び加害者を知った時から5年です。財産的損害は3年ですが、人身損害は5年であり、「一律3年」は誤りです。また不法行為時から20年(除斥期間)もあります。
選択肢2「過失相殺は裁判所の裁量なし」→ ❌誤り
民法第722条第2項は「被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる」と規定しています。「できる」という文言から、過失相殺の適用は裁判所の裁量であり、必ず過失相殺しなければならないわけではありません。
選択肢3「不法行為時から遅延損害金が発生する」→ ✅正解
判例(最判昭和37年9月4日)は、不法行為に基づく損害賠償債務は、催告を要せず不法行為の時から当然に遅延損害金が発生するとしています。これは通常の金銭債務(履行期に遅滞に陥る)と異なる点です。
選択肢4「被害者の慰謝料請求権は相続できない」→ ❌誤り
判例(最大判昭和42年11月1日)は、被害者が生前に慰謝料請求の意思を表明しなかった場合でも、当然に慰謝料請求権は相続されると判示しています。慰謝料請求権も財産権の一種として相続の対象となります。
背景知識
不法行為の損害賠償に関する重要な判例知識をまとめます。
- 遅延損害金の起算点:不法行為時から(最判昭和37年9月4日)
- 慰謝料の相続:被害者死亡の場合も慰謝料請求権は当然相続(最大判昭和42年11月1日)
- 過失相殺:裁判所の裁量(「できる」規定)(民法第722条第2項)
- 時効期間:財産的損害は3年・人身損害は5年(民法第724条・第724条の2)
学習アドバイス
不法行為の損害賠償については、通常の債務不履行と異なるルール(遅延損害金の起算点)を確認しておきましょう。また時効期間の違い(3年と5年)も重要な区別ポイントです。
まとめ
- 不法行為による損害賠償債務は不法行為時から遅延損害金が発生(判例)
- 人身損害の消滅時効は知った時から5年(民法第724条の2)
- 慰謝料請求権は被害者死亡後も相続の対象となる(判例)