【問377】貸金業務取扱主任者 練習問題|不法行為
民法・民事訴訟法 問71/114難易度B(標準)
問題文
工作物責任(民法第717条)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 1.土地の工作物の設置・保存の瑕疵による損害について、占有者は被害者に対して無過失責任を負う。
- 2.土地の工作物の設置・保存に瑕疵があり損害が生じた場合、占有者が損害防止の注意を尽くしたときは占有者は免責され、所有者も免責される。
- 3.土地の工作物には、建物・橋梁のような人工的建造物のみが含まれ、自然物(樹木等)は含まれない。
- 4.工作物責任において所有者の責任は無過失責任であり、免責事由は認められない。
解説
正解
正解は選択肢4です。所有者の責任は無過失責任であり、免責が認められません。
各選択肢の解説
選択肢1「占有者は無過失責任を負う」→ ❌誤り
民法第717条第1項は、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、占有者は責任を免れると規定しています。占有者の責任は過失責任(注意義務の懈怠を要件とする)であり、無過失責任ではありません。
選択肢2「占有者が免責されれば所有者も免責される」→ ❌誤り
民法第717条第1項ただし書きは、占有者が免責される場合には、所有者がその損害を賠償しなければならないと規定しています。占有者が免責されても所有者の責任は消滅せず、所有者が無過失責任を負います。
選択肢3「自然物は工作物に含まれない」→ ❌誤り
「土地の工作物」には人工的な建造物だけでなく、土地に付合した自然物(例:所有者が管理する樹木)も含まれると解釈されています。また塀・堤防・電柱等も含まれます。
選択肢4「所有者の責任は無過失責任で免責事由なし」→ ✅正解
民法第717条第1項は、占有者が注意を尽くして免責される場合には所有者が責任を負うと規定しており、所有者には免責規定がありません。すなわち所有者の責任は無過失責任です。所有者は損害を賠償した後、瑕疵の原因となった者(施工業者等)に対して求償できます(同条第3項)。
背景知識
工作物責任(民法第717条)の構造を整理します。
| 責任者 | 責任の性質 | 免責事由 |
|---|---|---|
| 占有者 | 過失推定責任 | 必要な注意を尽くしたことの証明 |
| 所有者 | 無過失責任 | なし(免責不可) |
占有者が免責され所有者が責任を負う場合、所有者はその損害の原因について他に責任を負う者(瑕疵の発生に責任ある者)があるときは、その者に対して求償できます(民法第717条第3項)。
学習アドバイス
占有者=過失責任(免責あり)、所有者=無過失責任(免責なし)という対比を確実に覚えましょう。責任の「一次的・二次的」な構造(まず占有者、次に所有者)も重要なポイントです。
まとめ
- 占有者は過失推定責任(必要な注意を尽くした場合は免責)(民法第717条第1項本文)
- 占有者が免責されたときは所有者が無過失責任を負う(同項ただし書き)
- 所有者は損害の原因者に求償できる(民法第717条第3項)