【問376】貸金業務取扱主任者 練習問題|不法行為
民法・民事訴訟法 問70/114難易度B(標準)
問題文
使用者責任(民法第715条)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- 1.使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたときは、使用者は損害賠償責任を免れる。
- 2.使用者責任が成立するためには、被用者の行為が事業の執行について行われたものであることが必要である。
- 3.使用者が被害者に損害賠償を支払った場合、使用者は被用者に対して求償することができる。
- 4.請負人がその仕事中に第三者に損害を与えた場合、注文者は常に使用者責任を負う。
解説
正解
正解は選択肢4です。注文者は原則として請負人に対する使用者責任を負いません。
各選択肢の解説
選択肢1「選任・監督の注意で免責される」→ ✅正解
民法第715条第1項ただし書きは、「使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない」と規定しています。ただし、実務上この免責が認められることはほとんどありません。
選択肢2「事業の執行についての行為が必要」→ ✅正解
民法第715条第1項は、「被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害」を使用者責任の対象としており、事業の執行性が要件となります。判例は「外形理論」を採用し、行為の外形が職務の範囲内にあれば事業執行性を肯定する傾向にあります。
選択肢3「使用者から被用者への求償が可能」→ ✅正解
民法第715条第3項は、「使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない」と規定しています。ただし判例は、信義則上、損害の公平な分担の観点から求償の範囲が制限される場合があるとしています。
選択肢4「注文者は常に使用者責任を負う」→ ❌誤り
民法第715条第2項は、「注文者は、請負人がその仕事について第三者に加えた損害を賠償する責任を負わない」と規定しています(原則免責)。例外として、注文者が請負人に対して具体的な作業方法を指示するなど実質的な指揮監督関係がある場合に限り、責任を負うことがあります。
背景知識
使用者責任(民法第715条)の要件は次のとおりです。
- ①使用関係(雇用・準雇用を問わず指揮監督関係があること)
- ②被用者の不法行為(民法第709条の成立)
- ③事業の執行性(外形理論により広く解釈される)
請負と雇用の違いについては、請負では請負人は独立して仕事を遂行するため指揮監督関係がなく、原則として注文者に使用者責任は生じません。
学習アドバイス
使用者責任の免責要件(選任・監督の注意)と、注文者の原則免責(民法第715条第2項)を混同しないよう注意しましょう。「常に」「一切」という絶対的表現に惑わされないことが重要です。
まとめ
- 使用者は選任・監督に注意を尽くした場合に免責される(民法第715条第1項ただし書き)
- 使用者責任には事業の執行性が必要(外形理論)
- 注文者は原則として請負人の行為について使用者責任を負わない(民法第715条第2項)