【問374】貸金業務取扱主任者 練習問題|弁済・弁済の提供
問題文
弁済の提供の方法及び効果に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例に照らし、最も適切なものはどれか。
- 1.持参債務において、債務者が自宅に目的物を準備しただけでは弁済の提供とならず、必ず債権者の住所に持参しなければならない。
- 2.債権者が予め弁済の受領を拒絶している場合でも、口頭の提供では足りず、現実の提供を継続しなければ債務不履行責任を免れない。
- 3.弁済の提供が適法であっても、債権者が受領を拒絶したため債務を弁済できなかった場合、債務者は供託によって債務を消滅させることができる。
- 4.弁済の提供の効果として履行遅滞責任を免れるためには、提供を一度行えば足り、継続的な提供は不要である。
解説
正解
正解は選択肢3です。受領拒絶の場合、債務者は弁済供託によって債務を消滅させることができます。
各選択肢の解説
選択肢1「持参債務は必ず債権者住所に持参が必要」→ ❌誤り
持参債務においては、債務者は目的物を債権者の住所に持参する必要がありますが(民法第484条)、これは弁済の場所の問題であり、弁済の提供の方法とは別です。また、債権者が予め受領拒絶を明確にしている場合は口頭の提供で足りるため、必ずしも現実に持参し続ける必要はありません。
選択肢2「受領拒絶の場合でも現実の提供を継続しなければならない」→ ❌誤り
民法第493条ただし書きは、債権者が予め受領を拒絶した場合には口頭の提供(弁済の準備をしたことの通知と受領催告)で足りると規定しています。受領拒絶の意思が明確な場合には、口頭の提供によって履行遅滞責任を免れることができます。
選択肢3「受領拒絶時は供託で債務を消滅させられる」→ ✅正解
民法第494条第1項第2号は、「債権者が弁済の受領を拒んだとき」を弁済供託の事由の一つとして規定しています。債権者が受領を拒絶した場合、債務者は供託所に目的物を供託することで、債務を消滅させることができます。
選択肢4「一度の提供で継続的な免責効果が生じる」→ ❌誤り
判例(大判大正4年3月9日等)は、継続的な給付を要する債務においては、一度の弁済の提供では足りず、その後も提供を継続しなければ履行遅滞の責任を免れないとしています。継続的債務では継続的な提供が必要です。
背景知識
弁済供託(民法第494条)の事由は次のとおりです。
- ①弁済の受領を拒んだとき(受領拒絶)
- ②債権者を確知することができないとき(債権者不確知)
- ③その他債権者の責めに帰すべき事由で弁済できないとき
供託が有効に行われると、債務は供託の時点で消滅します。供託物の受取権は債権者に帰属します。口頭の提供が認められる例外場面(民法第493条ただし書き)も重要です。
学習アドバイス
弁済の提供の方法(現実の提供・口頭の提供)、弁済の提供の効果(民法第492条)、弁済供託(民法第494条)の三つを体系的に整理しましょう。「継続的提供が必要か」は判例知識として押さえておく必要があります。
まとめ
- 債権者が受領を拒絶した場合、債務者は供託によって債務を消滅させることができる(民法第494条)
- 受領拒絶が明確な場合は口頭の提供で足りる(民法第493条ただし書き)
- 継続的給付債務では一度の提供では足りず継続的な提供が必要(判例)