【問372】貸金業務取扱主任者 練習問題|弁済・弁済の提供
問題文
受領権者としての外観を有する者への弁済(民法第478条)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 1.受領権者でない者への弁済が有効となるためには、弁済者の善意のみで足り、過失の有無は問わない。
- 2.詐称代理人(代理人であると偽った者)は、受領権者としての外観を有する者に該当しない。
- 3.真の債権者が弁済受領後に第三者に債権を譲渡した場合、当該第三者への弁済なしに債務は消滅しない。
- 4.表見相続人(相続人であると信じられる外観を有する者)への弁済は、善意かつ無過失であれば有効となる。
解説
正解
正解は選択肢4です。民法第478条により、表見相続人への弁済も善意無過失であれば有効とされます。
各選択肢の解説
選択肢1「善意のみで足り過失は問わない」→ ❌誤り
民法第478条は、受領権者としての外観を有する者への弁済が有効となるための要件として、弁済者が「善意であり、かつ、過失がなかったとき」と規定しています。善意のみでは足りず、無過失であることも必要です。
選択肢2「詐称代理人は外観を有する者に該当しない」→ ❌誤り
判例・通説は、詐称代理人(代理権がないのに代理人であると称する者)も民法第478条にいう「受領権者としての外観を有する者」に該当すると解しています。債権者本人を名乗る場合だけでなく、代理人と称する場合も同条が適用されます。
選択肢3「真の債権者から譲受した第三者への弁済なしに消滅しない」→ ❌誤り
この選択肢は設問と関係が薄く、かつ内容が不正確です。真の債権者への弁済は有効であり、債権者が第三者に譲渡した後は、対抗要件を具備した譲受人への弁済が有効な弁済となります。
選択肢4「表見相続人への弁済は善意無過失で有効」→ ✅正解
民法第478条は「受領権者としての外観を有する者」への弁済を規定しており、判例は表見相続人もこれに含まれると解しています。したがって、弁済者が表見相続人を真の相続人と信じ、かつそう信じたことに過失がなければ、その弁済は有効となります。
背景知識
民法第478条(受領権者としての外観を有する者への弁済)は、取引の安全と債務者保護の観点から設けられています。「受領権者としての外観を有する者」の例としては、①表見相続人、②債権の準占有者、③詐称代理人などが挙げられます。有効となるための要件は善意かつ無過失であり、弁済者に重過失があれば保護されません。なお、真の債権者は不当利得として弁済を受けた者に対して返還請求ができます。
学習アドバイス
民法第478条の要件「善意かつ無過失」は必ず覚えてください。「善意のみで足りる」という誤った選択肢が頻出です。また、同条の適用範囲(詐称代理人・表見相続人等も含む)も整理しておきましょう。
まとめ
- 受領権者の外観を有する者への弁済は善意かつ無過失の場合に有効(民法第478条)
- 詐称代理人・表見相続人なども同条の「外観を有する者」に含まれる
- 善意のみでは足りず、無過失であることも要件となる