【問366】貸金業務取扱主任者 練習問題|相殺の自働債権と受働債権
民法・民事訴訟法 問60/114難易度B(標準)
問題文
相殺における自働債権と受働債権に関する次の記述のうち、その内容が適切でないものを1つ選びなさい。
- 1.自働債権の弁済期が到来していなければ相殺することができない。
- 2.受働債権の弁済期が到来していない場合であっても、相殺権者は期限の利益を放棄して相殺することができる。
- 3.時効によって消滅した債権であっても、その消滅以前に相殺適状にあった場合には、その債権を自働債権として相殺することができる。
- 4.自働債権に同時履行の抗弁権が付着している場合であっても、常に相殺することができる。
解説
正解
正解は選択肢4です。自働債権に同時履行の抗弁権が付着している場合、相殺は認められません。
各選択肢の解説
選択肢1「自働債権の弁済期未到来では相殺不可」→ ✅(適切)
相殺の要件として、自働債権の弁済期が到来していることが必要です。自分の債権がまだ請求できる段階にない以上、相殺を主張する根拠がありません。
選択肢2「受働債権の期限利益放棄で相殺可能」→ ✅(適切)
受働債権については、相殺権者が自ら期限の利益を放棄することにより、弁済期前でも相殺が可能です(民法第505条第1項第2号括弧書)。受働債権は「自分の債務」なので、期限の利益を放棄しても相手方に不利益はありません。
選択肢3「時効消滅前に相殺適状なら相殺可能」→ ✅(適切)
民法第508条により、時効によって消滅した債権がその消滅以前に相殺に適するようになっていた場合は、その債権者は相殺をすることができます。相殺に対する合理的期待を保護する趣旨です。
選択肢4「同時履行の抗弁権が付着しても常に相殺可能」→ ❌(不適切)
自働債権に同時履行の抗弁権が付着している場合、その債権はまだ確定的に履行を請求できる状態にないため、相殺は認められないと解されています。相手方の反対給付が未履行である以上、相殺による一方的な決済を認めるのは相手方に不利益だからです。
背景知識
| 債権の種類 | 弁済期の要否 |
|---|---|
| 自働債権 | 弁済期到来が必要 |
| 受働債権 | 期限利益放棄で弁済期前でも可 |
学習アドバイス
自働債権と受働債権で弁済期の扱いが異なる点を正確に区別しましょう。また、時効消滅債権の相殺も重要論点です。
まとめ
- 自働債権は弁済期到来が必要
- 受働債権は期限の利益放棄で弁済期前でも相殺可能
- 時効消滅前に相殺適状なら消滅後も相殺可能
- 自働債権に同時履行の抗弁権が付着していると相殺不可