【問365】貸金業務取扱主任者 練習問題|差押えと相殺
民法・民事訴訟法 問59/114難易度B(標準)
問題文
AがBに対して100万円の貸金債権を有し、BがAに対して80万円の売買代金債権を有している場合において、CがAの貸金債権を差し押さえたときに関する次の記述のうち、その内容が適切なものを1つ選びなさい。
- 1.差押え後にBがAに対する債権を取得した場合であっても、Bは常にAに対する債権を自働債権としてCに対抗することができる。
- 2.差押え前にBがAに対する売買代金債権を取得していた場合、当該債権の弁済期が差押え後に到来するものであっても、Bは相殺をもってCに対抗することができる。
- 3.差押えがあった場合、Bは一切相殺をもってCに対抗することができない。
- 4.差押え後であっても、AとBの合意があれば、Bは常に相殺をもってCに対抗することができる。
解説
正解
正解は選択肢2です。改正民法により、差押え前に取得した債権であれば弁済期の先後にかかわらず相殺で対抗できます。
各選択肢の解説
選択肢1「差押え後取得の債権でも常に相殺対抗可能」→ ❌(不適切)
民法第511条第1項により、差押えを受けた債権の第三債務者は、差押え後に取得した債権による相殺をもって差押債権者に対抗することはできません。「常に」対抗できるとする点が誤りです。ただし、差押え前の原因に基づいて生じた債権による場合は例外的に対抗可能です(同条第2項)。
選択肢2「差押え前取得の債権は弁済期の先後問わず相殺対抗可能」→ ✅(適切)
改正民法第511条第1項により、差押え前に取得した債権による相殺は差押債権者に対抗できます。改正前は自働債権の弁済期が差押え時に到来している必要があるかが争点でしたが、改正民法では弁済期の先後を問わず対抗できることが明確化されました。
選択肢3「一切相殺対抗不可」→ ❌(不適切)
差押え前に取得した債権があれば相殺で対抗できるため、一切対抗できないわけではありません。
選択肢4「A・Bの合意で常に相殺対抗可能」→ ❌(不適切)
差押え後のA・Bの合意によって差押債権者Cの権利を害することはできません。差押えの効力を当事者間の合意で排除することは認められません。
背景知識
| 自働債権の取得時期 | 相殺の可否 |
|---|---|
| 差押え前に取得 | 弁済期の先後を問わず対抗可能 |
| 差押え前の原因に基づき差押え後に取得 | 対抗可能 |
| 差押え後に取得(前の原因なし) | 対抗不可 |
学習アドバイス
差押えと相殺の関係は重要テーマです。改正民法で弁済期の問題が整理された点を押さえましょう。
まとめ
- 差押え前に取得した債権は弁済期を問わず相殺で対抗可能
- 差押え後に取得した債権は原則として相殺対抗不可
- 当事者の合意で差押えの効力は排除できない