【問364】貸金業務取扱主任者 練習問題|相殺禁止
民法・民事訴訟法 問58/114難易度B(標準)
問題文
相殺の禁止に関する次の記述のうち、その内容が適切でないものを1つ選びなさい。
- 1.悪意による不法行為に基づく損害賠償の債務を負担する者は、その債務をもって相殺の自働債権とすることはできないが、受働債権とすることはできる。
- 2.人の生命又は身体の侵害による損害賠償の債務を負担する者は、その債務を受働債権として相殺することはできない。
- 3.差押禁止債権を受働債権とする相殺は許されない。
- 4.当事者が相殺を禁止し又は制限する旨の意思表示をした場合、その意思表示は善意の第三者に対しても常に対抗できる。
解説
正解
正解は選択肢4です。相殺禁止の意思表示は善意かつ無重過失の第三者に対抗できません。
各選択肢の解説
選択肢1「不法行為債務は自働債権にできないが受働債権にできる」→ ✅(適切)
悪意による不法行為に基づく損害賠償の債務を負担する者(加害者)は、被害者に対して有する債権を自働債権として相殺することはできません(民法第509条第1号)。しかし、被害者側から加害者に対する別の債務をもって相殺すること(加害者の債務が受働債権となる場合)は可能です。
選択肢2「生命・身体侵害の損害賠償は受働債権として相殺不可」→ ✅(適切)
民法第509条第2号により、人の生命又は身体の侵害による損害賠償の債務を負担する者は、その債務を受働債権として相殺することはできません。被害者の保護を重視した規定です。
選択肢3「差押禁止債権を受働債権とする相殺は不可」→ ✅(適切)
民法第510条により、債務が差押えを禁じたものであるときは、その債務者は相殺をもって債権者に対抗することはできません。差押禁止債権の趣旨(生活保障等)を守るためです。
選択肢4「善意の第三者にも常に対抗可能」→ ❌(不適切)
民法第505条第2項により、当事者が相殺を禁止し又は制限する旨の意思表示をした場合、善意かつ無重過失の第三者に対しては対抗できません。
背景知識
| 相殺禁止事由 | 根拠条文 |
|---|---|
| 悪意の不法行為による損害賠償債務 | 民法第509条第1号 |
| 生命・身体侵害による損害賠償債務 | 民法第509条第2号 |
| 差押禁止債権 | 民法第510条 |
| 差押えを受けた債権 | 民法第511条 |
| 当事者の合意による禁止 | 民法第505条第2項 |
学習アドバイス
相殺禁止事由は改正民法で整理されました。特に不法行為に関する規律(悪意の不法行為と生命・身体侵害を分けた点)を正確に押さえましょう。
まとめ
- 悪意の不法行為による損害賠償債務は自働債権として相殺不可
- 生命・身体侵害の損害賠償債務は受働債権として相殺不可
- 相殺禁止の合意は善意無重過失の第三者に対抗不可