【問360】貸金業務取扱主任者 練習問題|債権譲渡と債務者の抗弁
民法・民事訴訟法 問54/114難易度B(標準)
問題文
AがBに対する売買代金債権をCに譲渡し、AからBに対してその旨の通知がなされた場合に関する次の記述のうち、その内容が適切でないものを1つ選びなさい。
- 1.Bは、譲渡通知を受けるまでに譲渡人Aに対して生じた事由をもって、譲受人Cに対抗することができる。
- 2.Bは、譲渡通知を受ける前にAに対して反対債権を取得していた場合、その反対債権による相殺をCに対抗することができる。
- 3.BがAに対する債権譲渡を異議をとどめないで承諾した場合でも、改正民法ではBはAに対して有していた抗弁をCに対抗できる。
- 4.Bは、譲渡通知を受けた後にAに対して取得した反対債権をもって、常にCに対して相殺を主張することができる。
解説
正解
正解は選択肢4です。譲渡通知後にAに対して取得した反対債権では、原則としてCに対する相殺を対抗できません。
各選択肢の解説
選択肢1「通知前にAに対して生じた事由で対抗可能」→ ✅(適切)
民法第468条第1項により、債務者は、対抗要件具備時までに譲渡人に対して生じた事由をもって、譲受人に対抗することができます。同時履行の抗弁権や取消権なども含まれます。
選択肢2「通知前に取得した反対債権による相殺を対抗可能」→ ✅(適切)
民法第469条第1項により、債務者は、対抗要件具備時より前に取得した譲渡人に対する債権による相殺をもって譲受人に対抗できます。
選択肢3「異議をとどめない承諾でも抗弁対抗可能」→ ✅(適切)
改正民法では、異議をとどめない承諾による抗弁の切断制度(旧民法第468条第1項)は廃止されました。したがって、Bが異議をとどめずに承諾した場合でも、Aに対して有していた抗弁をCに対抗できます。
選択肢4「通知後に取得した反対債権で常に相殺可能」→ ❌(不適切)
対抗要件具備時より後に取得した譲渡人に対する債権による相殺は、原則として譲受人に対抗できません。ただし、対抗要件具備時より前の原因に基づいて生じた債権等については例外的に対抗可能です(民法第469条第2項)。「常に」対抗できるわけではありません。
背景知識
| 反対債権の取得時期 | 相殺の対抗可否 |
|---|---|
| 対抗要件具備時より前に取得 | 対抗可能 |
| 対抗要件具備時より前の原因に基づき後に取得 | 対抗可能 |
| 対抗要件具備時より後に取得(前の原因なし) | 対抗不可 |
学習アドバイス
改正民法では異議をとどめない承諾の制度が廃止された点と、相殺の対抗に関する規律を正確に押さえましょう。
まとめ
- 債務者は対抗要件具備時までの事由で譲受人に対抗可能
- 改正民法で異議をとどめない承諾による抗弁切断は廃止
- 通知後取得の反対債権は原則として相殺対抗不可