【問342】貸金業務取扱主任者 練習問題|保証契約
民法・民事訴訟法 問36/114難易度C(難しい)
問題文
保証人に対する情報提供義務に関する次の記述のうち、民法の規定として適切なものを1つ選びなさい。
- 1.債権者は、個人保証人(主債務者が法人である場合の取締役を除く)から請求があった場合、主債務の履行状況について情報を提供しなければならないが、この義務は主債務者の事業用融資に限られる。
- 2.主債務者は、個人保証人(事業用融資の根保証を締結しようとする者)に対し、契約締結前に主債務者の財産・収支の状況、担保として提供するものの内容等の情報を提供しなければならない。
- 3.債権者が個人保証人からの情報提供請求に応じて主債務の履行状況を情報提供した場合、その情報の正確性について債権者は一切責任を負わない。
- 4.主債務者が情報提供義務に違反し、保証人が誤った情報に基づいて保証契約を締結した場合、保証人は債権者に対して直接損害賠償を請求することができる。
解説
正解
正解は選択肢2です。主債務者から個人保証人(事業融資の根保証をしようとする者)への契約前情報提供義務を正確に記述しています(民法第465条の10)。
各選択肢の解説
選択肢1「情報提供義務は事業用融資に限られる」→ ❌誤り
民法第458条の2によれば、保証人が個人である場合、債権者は保証人から請求があったときは主債務の元本・利息・損害賠償の不履行の有無・残額・弁済期等の情報を提供しなければなりません。この義務は事業用融資に限定されていません。
選択肢2「主債務者の事前情報提供義務(事業用根保証)」→ ✅正解
民法第465条の10第1項の規定のとおりです。主債務者が事業用融資の根保証(個人が保証人)を委託するにあたり、主債務者は①財産・収支の状況、②主債務以外の債務の額・履行状況、③主債務の担保として提供するものの内容を保証人に対して情報提供しなければなりません。
選択肢3「情報の正確性について債権者は無責任」→ ❌誤り
債権者が情報提供義務(民法第458条の2)に基づいて情報を提供した場合、虚偽の情報を提供すれば債務不履行や不法行為として責任を問われる可能性があります。一切責任を負わないという記述は誤りです。
選択肢4「主債務者の違反→債権者への損害賠償請求」→ ❌誤り
民法第465条の10第2項によれば、主債務者が情報提供義務に違反し、保証人が誤った情報に基づいて保証契約を締結した場合、債権者がその事実を知りまたは知ることができたときは、保証人は保証契約を取り消すことができます。債権者への直接の損害賠償請求ではなく、取消権が認められます。
背景知識
保証に関する情報提供義務の種類
| 義務者 | 相手方 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 主債務者 | 個人保証人 | 財産・収支・担保等の事前情報 | 第465条の10 |
| 債権者 | 個人保証人 | 主債務の履行状況(請求時) | 第458条の2 |
| 債権者 | 個人保証人 | 期限の利益喪失の通知(2か月以内) | 第458条の3 |
学習アドバイス
情報提供義務は「誰が」「誰に」「何を」「いつ」提供するかを整理することが重要です。主債務者→保証人(事前・事業用根保証)と債権者→保証人(請求時・全般)を区別して覚えましょう。
まとめ
- 主債務者の事前情報提供義務(事業用根保証):財産・収支・担保等(民法第465条の10)
- 債権者の情報提供義務:保証人の請求時に主債務の履行状況を開示(民法第458条の2)
- 主債務者の義務違反→債権者が知り得た場合に保証契約の取消権が発生