【問336】貸金業務取扱主任者 練習問題|消滅時効
民法・民事訴訟法 問30/114難易度B(標準)
問題文
貸金業者Aが個人Bに対してX年4月1日を弁済期(一括払い)として200万円を貸し付け、期限の利益喪失特約を付した。Bが同年6月1日に返済を怠り、AがBに対して期限の利益を喪失させた旨の通知を同年7月1日に発し、Bが同年7月5日に受領した。この場合の消滅時効に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例に照らして適切なものを1つ選びなさい。
- 1.期限の利益喪失通知が効力を生じるのは通知発送日(7月1日)であり、同日の翌日から消滅時効が進行する。
- 2.期限の利益喪失通知が効力を生じるのはBが受領した日(7月5日)であり、同日の翌日から消滅時効が進行する。
- 3.当初の弁済期日(4月1日)の翌日から消滅時効が進行し、Bが返済を怠った日(6月1日)は考慮されない。
- 4.分割払いの特約がある場合に限り期限の利益喪失が問題となり、一括払いの場合は期限の利益喪失特約の効果は生じない。
解説
正解
正解は選択肢2です。期限の利益喪失通知は相手方に到達した時点で効力が生じ(到達主義)、その翌日から消滅時効が進行します。
各選択肢の解説
選択肢1「通知発送日の翌日から時効進行」→ ❌誤り
意思表示の効力は、相手方に到達した時に生じます(民法第97条第1項・到達主義)。期限の利益喪失の通知は発送日ではなく、相手方への到達日(7月5日)に効力が生じます。
選択肢2「受領日(到達日)の翌日から時効進行」→ ✅正解
期限の利益喪失の通知は到達主義によりBが受領した7月5日に効力が生じ、この日が「権利を行使することができる時」となります。消滅時効の客観的起算点は7月5日の翌日(7月6日)となります。
選択肢3「当初の弁済期日の翌日から時効進行」→ ❌誤り
この問題では弁済期(4月1日)の後に期限の利益喪失特約に基づいてBが期限の利益を喪失しています。ただし設問の事実関係では当初の弁済期が4月1日であり、6月1日に支払を怠っていることからすると、期限の利益喪失特約により最終的な弁済期が繰り上がった時点が起算点となります。
選択肢4「一括払いでは期限の利益喪失は問題とならない」→ ❌誤り
期限の利益喪失特約は一括払いの貸付けにも付すことができます。例えば弁済期前であっても、債務者が破産手続開始決定を受けた場合など、特約に定める事由が発生した場合に期限の利益を喪失させることが可能です。
背景知識
期限の利益喪失と消滅時効の起算点
- 期限の利益喪失通知は到達主義(民法第97条)
- 到達日の翌日が時効の客観的起算点
- 貸金業では期限の利益喪失条項が多く用いられる
意思表示の到達主義(民法第97条)
- 相手方に到達した時に効力発生
- 発信主義の例外(隔地者間の契約の承諾など)と区別が必要
学習アドバイス
期限の利益喪失の通知が到達主義によることを忘れないでください。実務上、貸金業者は内容証明郵便で通知を送り、到達日を確認する重要性があります。
まとめ
- 期限の利益喪失通知は到達時に効力発生(到達主義)
- 消滅時効の起算点は期限の利益喪失通知の到達日の翌日
- 一括払いにも期限の利益喪失特約を付することが可能