【問334】貸金業務取扱主任者 練習問題|消滅時効
民法・民事訴訟法 問28/114難易度C(難しい)
問題文
消滅時効の効果及び援用に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例に照らして適切でないものを1つ選びなさい。
- 1.消滅時効が完成した場合、時効の効力はその起算日にさかのぼる。
- 2.消滅時効完成後に債務者が債権者に対して債務を承認した場合、当該債務者は後に時効を援用することができなくなる場合がある。
- 3.消滅時効が完成した後も、債権者は道義的責任を理由として任意に弁済することを求めることができ、債務者が弁済した場合にはその弁済を不当利得として返還請求できる。
- 4.主債務の消滅時効が完成した場合、保証人はその時効を援用しなくても、当然に保証債務も消滅する。
解説
正解
正解は選択肢4です。主債務の消滅時効が完成しても、保証人が時効を援用しない限り保証債務が当然に消滅するわけではありません。
各選択肢の解説
選択肢1「時効の効力は起算日にさかのぼる」→ ✅正解(適切)
民法第144条の規定のとおりです。時効の効力は、その起算日にさかのぼります。これにより、時効期間中に生じた利息なども消滅することになります。
選択肢2「時効完成後の承認で援用できなくなる場合がある」→ ✅正解(適切)
判例(最判昭和41・4・20等)は、消滅時効完成後に債務者が債務を承認した場合、債権者の信頼保護の観点から、信義則上その後の時効援用が許されない場合があるとしています。
選択肢3「時効完成後の任意弁済は不当利得にならない」→ ✅正解(適切)
消滅時効完成後の弁済は、自然債務の弁済として有効であり、不当利得にはなりません。債務者は時効を援用するかどうかを選択できますが、援用せずに弁済した場合はその弁済は有効であり、返還請求できません(民法第703条の反対解釈)。
選択肢4「主債務の時効完成で保証債務も当然消滅」→ ❌誤り(不適切)
保証人が主債務の消滅時効を援用する権利を有するのは確かですが、援用は援用権者による意思表示が必要です(民法第145条)。主債務の時効が完成しただけでは、援用なしに保証債務が自動的・当然に消滅するわけではありません。保証人が援用することで初めて効果が生じます。
背景知識
時効の援用と保証人
- 主債務者が時効を援用→主債務消滅→附従性により保証債務も消滅
- 保証人自身が主債務の時効を援用→保証債務を免れる
- ただし援用は援用権者による意思表示が必要(自動的には消滅しない)
時効の遡及効(民法第144条)
- 時効完成の効力は起算日にさかのぼる
- 時効期間中の利息・損害金も消滅する
学習アドバイス
「時効は援用が必要」という大原則を常に意識しましょう。時効完成後の承認と信義則による援用制限は応用論点ですが、貸金試験では難問として出題されることがあります。
まとめ
- 時効の効力は起算日にさかのぼる(民法第144条)
- 時効完成後の承認は信義則上、援用を封じる場合がある
- 時効は援用なしに当然の効果は生じない