【問333】貸金業務取扱主任者 練習問題|消滅時効
問題文
貸金業者Aが個人BにX年1月10日を弁済期として100万円を貸し付けた。その後、時効の完成に関して次のア〜エの記述のうち、民法の規定及び判例に照らして適切なものの組合せを1つ選びなさい。 ア.BがAに対して「返済が少し遅れます」と電話連絡した場合、この電話連絡は債務の承認にあたり、時効が更新される。 イ.Aが内容証明郵便でBに対して残債務の支払を催告した場合、催告から6か月以内に裁判上の請求等をすれば時効完成が猶予される。 ウ.Bが弁済期経過後に利息のみを支払った場合であっても、元本債務の存在を認識した上での行為として元本の消滅時効が更新される。 エ.Aが支払督促の申立てをした場合、申立て時に直ちに時効が更新される。
- 1.ア・イ
- 2.イ・ウ
- 3.ウ・エ
- 4.ア・エ
解説
正解
正解は選択肢2(イ・ウ)です。
各選択肢の解説
選択肢1「ア・イ」→ ❌誤り
アが誤りのため不正解です。
選択肢2「イ・ウ」→ ✅正解
イとウがともに正しい記述であるため正解です。
選択肢3「ウ・エ」→ ❌誤り
エが誤りのため不正解です。
選択肢4「ア・エ」→ ❌誤り
アもエも誤りです。
各記述の詳細解説
ア「電話連絡は債務の承認にあたる」→ ❌誤り 債務の承認は、債務者が債権者に対して債務の存在を認識していることを表示する行為です。「返済が少し遅れます」という電話連絡は、債務の存在を前提とした表現であり承認にあたり得ますが、承認の効果については具体的な状況次第です。一般的に、返済の意向を示す言動は承認と解釈されますが、判例上、承認には相手方への到達が必要であり単なる電話連絡で直ちに「時効が更新される」と断言するには不確実な部分があります。本設問では「電話連絡」のみで確実に更新と断言することが不適切です。
イ「催告から6か月以内に裁判上の請求をすれば猶予」→ ✅正解 民法第150条第1項の規定のとおりです。催告があった時から6か月を経過するまでの間は消滅時効の完成が猶予されます。ただし猶予のみであり、更新のためには6か月以内に裁判上の請求等の手続が必要です。
ウ「利息のみの支払いでも元本の時効が更新」→ ✅正解 判例(最判昭和38・10・30等)によれば、債務者が利息を支払う行為は元本債務の存在を前提とした承認行為と評価され、元本債務の消滅時効も更新されます。
エ「支払督促申立て時に直ちに時効更新」→ ❌誤り 支払督促の申立ては、民法第147条第1項の「裁判上の請求」に準じるものとして時効の完成を猶予する効力を持ちます(民法第148条第1項)。申立て時に直ちに時効が「更新」されるのではなく、まず「完成猶予」となり、支払督促が確定した時(異議なく確定した段階)に初めて時効が更新されます(民法第148条第2項)。申立て時に直ちに更新されるという記述は誤りです。
背景知識
催告・承認・裁判上の請求は時効に関する重要な事由です。催告は完成猶予のみ、承認は更新のみ、裁判上の請求は猶予後に確定判決等で更新という違いを整理してください。
学習アドバイス
複数の事由が絡む問題は、各事由の効果(完成猶予か更新か)を表で整理して覚えることが効果的です。特に「催告→猶予のみ」「承認→更新のみ」の対比は必須知識です。
まとめ
- 催告は完成猶予効果のみ(6か月以内に訴訟等が必要)
- 承認(利息支払いを含む)は時効更新の効果あり
- 支払督促は申立て時に完成猶予となり、確定時に時効が更新される(申立て時に直ちに更新されるのではない)