【問310】貸金業務取扱主任者 練習問題|債務不履行と損害賠償
民法・民事訴訟法 問4/114難易度B(標準)
問題文
民法における債務不履行に基づく損害賠償に関する次の記述のうち、その内容が適切でないものを1つ選びなさい。
- 1.債務不履行に基づく損害賠償を請求するには、債務者に帰責事由があることが必要である。
- 2.債務不履行によって通常生ずべき損害は、債務者が賠償すべき損害の範囲に含まれる。
- 3.特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見すべきであったときは、債権者はその賠償を請求することができる。
- 4.債務者に帰責事由がない場合でも、金銭債務の不履行については損害賠償の責任を負う。
解説
正解
正解は選択肢4です。金銭債務の不履行について不可抗力をもって抗弁とすることができないという規定はありますが、帰責事由が全く不要というわけではなく、金銭債務の特則の趣旨を正確に理解する必要があります。
各選択肢の解説
選択肢1「帰責事由が必要」→ ✅(適切)
民法第415条第1項ただし書により、債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、損害賠償請求はできません。
選択肢2「通常損害は賠償範囲に含まれる」→ ✅(適切)
民法第416条第1項により、債務不履行によって通常生ずべき損害(通常損害)は賠償すべき損害の範囲に含まれます。
選択肢3「予見すべき特別損害も賠償範囲」→ ✅(適切)
民法第416条第2項により、特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見すべきであったときは賠償範囲に含まれます。
選択肢4「帰責事由なくても金銭債務は賠償責任」→ ❌(不適切)
民法第419条第3項は「不可抗力をもって抗弁とすることができない」と規定しています。これは金銭債務においては履行不能が観念できないため不可抗力の抗弁を認めない趣旨ですが、「帰責事由がない場合でも責任を負う」という記述は、帰責事由の要件を完全に排除するかのような誤解を招く不正確な表現です。
背景知識
| 損害の種類 | 賠償の可否 | 根拠 |
|---|---|---|
| 通常損害 | 賠償対象 | 民法第416条第1項 |
| 予見可能な特別損害 | 賠償対象 | 民法第416条第2項 |
| 予見不能な特別損害 | 賠償対象外 | 民法第416条第2項の反対解釈 |
学習アドバイス
金銭債務の特則(民法第419条)は重要です。遅延利息の法定利率、損害の立証不要、不可抗力の抗弁不可の3点を押さえましょう。
まとめ
- 債務不履行に基づく損害賠償には原則として帰責事由が必要
- 通常損害と予見可能な特別損害が賠償範囲
- 金銭債務の不履行は不可抗力をもって抗弁できない