【問56】貸金業務取扱主任者 練習問題|広告と勧誘の境界線
問題文
貸金業法における広告と勧誘に関する次の記述のうち、その内容が適切でないものを1つ選びなさい。
- 1.貸金業者が不特定多数の者に対して貸付条件を知らせる行為は、広告に該当しうる。
- 2.貸金業者が特定の資金需要者に対して個別に電話をかけ、貸付けの契約の締結を勧める行為は、勧誘に該当しうる。
- 3.貸金業法第16条は、勧誘についても広告と同様に法定表示事項の表示義務を課している。
- 4.貸金業者が行う勧誘においても、著しく事実に相違する表示や、著しく有利であると人を誤認させるような表示は禁止されている。
解説
正解
正解は選択肢3です。貸金業法第16条は誇大広告等の禁止に関する規定であり、勧誘に対して広告と同様の法定表示事項の表示義務を課しているものではありません。
各選択肢の解説
選択肢1「不特定多数への貸付条件の告知は広告に該当しうる」→ ✅
広告とは、一般に不特定多数の者に対して一定の事項を周知させるための表示をいいます。貸金業者が不特定多数の者に対して貸付条件を知らせる行為は、広告の典型的な態様です。
選択肢2「特定の者への個別の電話勧誘は勧誘に該当しうる」→ ✅
勧誘とは、特定の者に対して契約の締結を促す行為をいいます。貸金業者が特定の資金需要者に対して個別に電話をかけ、貸付契約の締結を勧める行為は、勧誘の典型例です。
選択肢3「勧誘にも法定表示事項の表示義務がある」→ ❌
貸金業法第15条の法定表示事項の表示義務は「貸付条件の広告」に対して課されるものです。勧誘に対しては、貸金業法第16条の3(生命保険契約等に関する同意前の書面交付等の特則を含む勧誘規制)等の別の規制が設けられていますが、広告と同一の法定表示事項の表示義務が課されるわけではありません。
選択肢4「勧誘でも誇大表示は禁止」→ ✅
貸金業法第16条の誇大広告の禁止規定の趣旨は、広告のみならず貸金業者の業務全般に及びます。勧誘において著しく事実に相違する表示をしたり、著しく有利であると誤認させるような表示をすることも、貸金業法上禁止されています。
背景知識
広告と勧誘は、対象者の範囲と行為の性質により区別されます。
| 区分 | 対象 | 行為の性質 | 主な規制 |
|---|---|---|---|
| 広告 | 不特定多数 | 貸付条件の周知・告知 | 法第15条(法定表示事項)、法第16条(誇大広告禁止) |
| 勧誘 | 特定の者 | 契約締結の働きかけ | 法第16条の3等(勧誘規制) |
ただし、実務上は広告と勧誘の境界が曖昧な場合もあります。たとえば、ダイレクトメールは不特定多数に送付される場合は広告的性質を持ち、特定の顧客に送付される場合は勧誘的性質を持つことがあります。
学習アドバイス
広告と勧誘の区別は、「不特定多数か特定の者か」を基準に整理しましょう。法定表示事項の表示義務(第15条)は広告に対する規制であり、勧誘には別途の規制(第16条の3等)が適用される点を正確に理解することが重要です。
まとめ
- 広告は不特定多数に対する貸付条件の周知、勧誘は特定の者に対する契約締結の働きかけ
- 法定表示事項の表示義務(第15条)は広告に適用され、勧誘には直接適用されない
- 誇大表示の禁止は広告・勧誘を問わず貸金業者の業務全般に及ぶ