【問36】ビジネス実務法務検定3級 練習問題|取消しと無効の違い
問題文
取消しと無効に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 1.無効な法律行為と取消しうる法律行為はいずれも特定の者の意思表示によって効果が確定する。
- 2.無効は当初から効力を生じないが、取消しは行使までは有効であり遡及的に無効となる。
- 3.取消権には期間制限はなく、いつでも行使できる。
- 4.取消しがされると将来に向かって効力を失い、過去の効力には影響しない。
解説
正解
正解は選択肢2です。
各選択肢の解説
選択肢1 → ❌
無効は最初から法律上当然に効力を生じない状態であり、特定の者の意思表示は不要です。取消しは取消権者の意思表示によって効果が生じます。
選択肢2 → ✅
無効な法律行為は当初から効力を生じませんが、取消しうる法律行為は取消権が行使されるまでは有効に存在し、取消しによって遡及的に無効となります(民法121条)。
選択肢3 → ❌
民法126条により、取消権は追認をすることができる時から5年間、または行為の時から20年間行使しないときに消滅します。期間制限があります。
選択肢4 → ❌
民法121条により、取り消された行為は「初めから無効であったものとみなす」とされ、遡及効があります。将来効ではなく遡及効です。
背景知識
無効と取消しは法律行為の効力否定制度として重要な概念です。無効は法律行為が当初から法的効力を生じない状態で、誰でも、いつでも、その無効を主張できます(原則として期間制限なし)。例:公序良俗違反(90条)、要素の錯誤(改正前)、通謀虚偽表示(94条)。取消しは法律行為が一応有効に成立しているが、特定の者(取消権者)が取消権を行使することで遡及的に無効となります。例:制限行為能力(5・9・13・17条)、錯誤(95条)、詐欺・強迫(96条)。取消権者の範囲(120条)、追認による取消権の喪失(122条)、取消権の期間制限(126条:追認可能時から5年・行為時から20年)などの規定があります。2017年改正で錯誤の効果が「無効」から「取消し」に変更され、第三者保護要件も整理されました。
学習アドバイス
無効と取消しの違いを「主張権者・主張時期・効果発生時期」の3点で整理しましょう。無効=誰でも・いつでも・最初から、取消し=取消権者・期間制限・行使時から(遡及的)と覚えてください。取消権の期間制限(民法126条)、追認権(民法122条)も頻出です。
まとめ
- 無効は当初から効力なし、取消しは行使まで有効
- 取消しは遡及的に無効化(121条)
- 取消権は5年・20年の期間制限(126条)