【問19】ビジネス実務法務検定3級 練習問題|代理権の濫用
問題文
代理権の濫用に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 1.代理人が自己または第三者の利益のため代理行為をした場合、相手方の認識にかかわらず常に有効となる。
- 2.自己または第三者の利益のため代理行為をしたとき、相手方が悪意・有過失なら無権代理とみなされる。
- 3.代理権の濫用は民法に明文規定がなく、判例もこれを認めていない。
- 4.代理人が代理権の範囲を超えた場合は代理権濫用にあたる。
解説
正解
正解は選択肢2です。
各選択肢の解説
選択肢1 → ❌
代理人が自己または第三者の利益のため代理行為をした(代理権濫用)場合でも、相手方が悪意・有過失であれば本人を保護するため無権代理とみなされます(民法107条)。常に有効ではありません。
選択肢2 → ✅
2017年改正民法107条により、代理人が自己または第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合、相手方がその目的を知り又は知ることができた(悪意または有過失)ときは、無権代理行為とみなされます。
選択肢3 → ❌
2017年改正前は明文規定がなく判例(心裡留保類推適用説)で対応していましたが、改正後は民法107条で明文化されました。判例も古くから代理権濫用を認めてきました。
選択肢4 → ❌
代理権の範囲を超える行為は「権限踰越」であり、代理権濫用とは異なります。代理権濫用は権限の範囲内の行為について濫用目的があった場合をいいます。
背景知識
代理権の濫用とは、代理人が形式的には代理権の範囲内の行為をしながら、実質的には自己または第三者の利益のために行った場合を指します。例えば、社員が会社の代理人として商品を購入する形を取りながら、実際は自分が利得する目的だった場合などです。改正前民法には明文規定がなく、判例は心裡留保(民法93条)の類推適用により処理していました。2017年民法改正により107条が新設され、相手方が代理人の目的について悪意または有過失の場合に無権代理とみなすことが明文化されました。これにより、本人保護と取引安全のバランスが明確化されました。
学習アドバイス
2017年改正で新設された民法107条は重要改正点です。「代理権濫用=範囲内・濫用目的」「権限踰越=範囲外」の違いを区別しましょう。相手方の主観要件(悪意・有過失)が無権代理化の要件である点も押さえてください。
まとめ
- 代理権濫用は範囲内行為だが濫用目的がある
- 民法107条により相手方悪意・有過失なら無権代理
- 権限踰越(範囲外行為)とは区別される