【問7】ビジネス実務法務検定3級 練習問題|信義誠実の原則
法体系・取引の基礎 問7/40難易度B(標準)
問題文
民法の基本原則である信義誠実の原則に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 1.信義則は契約締結後の関係にのみ適用され、契約交渉段階には適用されない。
- 2.民法1条2項は「権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない」と規定する。
- 3.信義則は道徳的指針にすぎず、裁判規範としての法的効力はない。
- 4.信義則違反が認められても権利行使を否定することはできない。
解説
正解
正解は選択肢2です。
各選択肢の解説
選択肢1 → ❌
信義則は契約交渉段階(契約締結上の過失)、契約履行段階、契約終了後の段階すべてに適用される一般原則です。
選択肢2 → ✅
民法1条2項は信義誠実の原則(信義則)を明文で規定しています。これは民法全体を貫く基本原則であり、権利行使と義務履行の指導原理として機能します。
選択肢3 → ❌
信義則は単なる道徳ではなく、裁判規範として法的効力を有します。これに反する権利行使は権利濫用(民法1条3項)として認められないことがあります。
選択肢4 → ❌
信義則違反が認められれば、権利行使は否定されます。例えば、信義則から派生する「禁反言の法理(エストッペル)」により、自己の従前の言動と矛盾する権利行使は認められません。
背景知識
民法1条は私権行使の三大原則を定めています。1項は「私権は公共の福祉に適合しなければならない」(公共の福祉)、2項は「権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない」(信義誠実の原則)、3項は「権利の濫用はこれを許さない」(権利濫用の禁止)です。信義則は単なる訓示規定ではなく、最高裁も多くの判例で活用しています。具体的には、契約締結上の過失、事情変更の原則、禁反言の法理、クリーンハンズの原則などが信義則から派生する法理として認められています。実務上、契約解釈や紛争解決の最後の砦として機能します。
学習アドバイス
民法1条の三大原則(公共の福祉、信義則、権利濫用禁止)を必ず暗記しましょう。信義則から派生する法理(契約締結上の過失、禁反言など)も応用問題で問われます。
まとめ
- 民法1条2項が信義則を明文化
- 契約全段階に適用される基本原則
- 違反すれば権利行使が否定されうる