【問179】ビジネス実務法務検定3級 練習問題|取適法(旧下請法)の規制内容
問題文
2026年1月1日に下請代金支払遅延等防止法から改称された中小受託取引適正化法(取適法)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 1.委託事業者と中小受託事業者の区分は、資本金の額または従業員の数に基づいて行われる。
- 2.製造委託等代金の支払期日は、委託事業者が給付を受領した日から60日以内であれば自由に設定できる。
- 3.取適法は独占禁止法の特別法ではなく、独立した立法目的を有する法律である。
- 4.取適法における委託事業者の禁止行為違反については、課徴金も刑事罰も規定されておらず勧告のみである。
解説
正解
正解は選択肢1です。
各選択肢の解説
選択肢1 → ✅
取適法第2条第8項・第9項により、委託事業者と中小受託事業者の区分は取引の種類と、当事者の資本金の額または常時使用する従業員の数に基づきます。製造委託等では資本金3億円超(または従業員300人超)の事業者が委託事業者、3億円以下(または300人以下)が中小受託事業者とされる類型があります。従業員数の基準は2026年1月1日施行の改正で追加されたもので、資本金を小さく保ったまま規制を免れる事例に対応するためのものです。
選択肢2 → ❌
給付を受領した日から60日以内の、できる限り短い期間内において支払期日を定めなければなりません。「60日以内であれば自由」ではありません。
選択肢3 → ❌
取適法は、独占禁止法第19条(不公正な取引方法)が禁じる優越的地位の濫用を機動的に規制するための補完法・特別法として位置づけられます。改称後もこの性格は変わりません。
選択肢4 → ❌
勧告と公表が中心的な措置であることは正しいものの、「刑事罰も規定されていない」は誤りです。書面の交付義務違反や報告拒否・検査妨害には罰金の定めがあります。また同じ行為が独占禁止法上の優越的地位の濫用と認定されれば、課徴金が課される可能性もあります。
背景知識
1956年制定の下請代金支払遅延等防止法(下請法)は、2026年1月1日施行の改正により題名が「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」へ改められ、略称は中小受託取引適正化法(取適法)となりました。あわせて「親事業者・下請事業者」の呼称が「委託事業者・中小受託事業者」に、「下請代金」が「製造委託等代金」に改められています。発注者から受注者への優越的地位の濫用を機動的に規制する独占禁止法の特別法という性格は変わりません。適用対象は取引類型(製造委託・修理委託・情報成果物作成委託・役務提供委託・特定運送委託)と、資本金または従業員数の区分で決まります。委託事業者の義務(書面交付・書類作成保存・支払期日設定・遅延利息)と禁止行為の類型(受領拒否・代金減額・返品・買いたたき等)が定められ、違反時は公正取引委員会の勧告・公表が中心です。
学習アドバイス
資本金区分(3億円超/3億円以下、5,000万円超/5,000万円以下)と取引類型の対応を押さえたうえで、2026年1月施行の改正で従業員数基準(300人・100人)が加わったこと、呼称が委託事業者・中小受託事業者に変わったことを押さえましょう。支払期日60日以内、書面交付義務、禁止行為の類型は引き続き頻出です。
まとめ
- 委託事業者・中小受託事業者は資本金または従業員数で区分(法2条8項・9項)
- 支払期日は受領日から60日以内のできる限り短い期間
- 独占禁止法の特別法として機能(改称後も同じ)