【問155】ビジネス実務法務検定3級 練習問題|手形の人的抗弁切断
商法・会社法 問35/40難易度C(難しい)
問題文
手形の人的抗弁切断に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 1.債務者は、所持人の前者に対する人的抗弁をもって、善意の所持人に対抗することはできない
- 2.債務者は、いかなる場合も所持人の前者に対する人的抗弁をもって対抗できる
- 3.物的抗弁も人的抗弁切断の対象となる
- 4.悪意の所持人に対しても人的抗弁の切断が認められる
解説
正解
正解は選択肢1です。
各選択肢の解説
選択肢1 → ✅
手形法第17条により、人的抗弁は所持人の前者に対する関係でしか主張できません(人的抗弁の切断)。
選択肢2 → ❌
善意の所持人には人的抗弁を主張できません。
選択肢3 → ❌
物的抗弁(手形要件欠缺等)はすべての所持人に主張できます。
選択肢4 → ❌
所持人が「債務者を害することを知りて」取得した場合(=悪意の害意)は人的抗弁切断が認められません。
背景知識
手形法第17条は人的抗弁の切断を規定します。本文は「為替手形によりて請求を受けたる者は、振出人または所持人の前者に対し、人的関係に基づく抗弁をもって所持人に対抗することを得ず」と定めます。ただし書では「ただし、所持人がその債務者を害することを知りて手形を取得したるときは、この限りにあらず」とし、害意の取得者には抗弁を主張できる例外を設けます。「害意」とは抗弁の存在と所持人取得により債務者が害される結果を認識することで、単なる悪意より厳格な要件です。これにより、善意で手形を取得した第3取得者は前者間の事情(契約の履行不能・原因関係の解除等)に左右されず権利行使でき、手形流通の安全が確保されます。物的抗弁(無能力・偽造・変造・要件欠缺等)はすべての所持人に対抗できる点と区別されます。
学習アドバイス
人的抗弁(切断対象)と物的抗弁(切断不可)の区別が最重要です。「害意」の意味も押さえましょう。原因関係(売買等の元の取引)と手形関係の独立性を理解すると応用が利きます。
まとめ
- 人的抗弁は善意所持人に対抗不可
- 害意取得者には対抗可能
- 物的抗弁はすべての所持人に対抗可