【問112】ビジネス実務法務検定3級 練習問題|不法原因給付
民法(物権・担保・相続) 問32/40難易度B(標準)
問題文
民法上の不法原因給付(民法708条)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 1.不法な原因のために給付をした者は、その給付が公序良俗に反するものであった場合であっても、不当利得としてその給付したものの返還を必ず請求することができる。
- 2.不法な原因のために給付をした者は、原則としてその給付したものの返還を請求することができないが、不法な原因が受益者にのみ存したときは返還請求できる。
- 3.不法原因給付の規定は給付者による返還請求を制限するにとどまり、給付の目的となった財産の所有権が受益者に帰属するかどうかについては何ら影響を及ぼさない。
- 4.不法原因給付の規定は、賭博などの犯罪行為に関する給付についてのみ適用されるものであり、公序良俗に違反するにとどまる給付には適用されないとされている。
解説
正解
正解は選択肢2です。
民法708条本文により、不法な原因のために給付をした者は、原則として返還請求できません。ただし、ただし書により、不法な原因が受益者にのみ存したときは返還請求できます。
各選択肢の解説
選択肢1 → ❌
原則として返還請求は否定されます。「必ず返還請求できる」は誤りです。
選択肢2 → ✅
民法708条本文・ただし書のとおりです。不法性が一方にのみある場合は返還請求が認められます。
選択肢3 → ❌
判例(最大判昭和45.10.21)により、不法原因給付の場合、給付者は所有権に基づく返還請求もできず、結果として所有権は反射的に受益者に移転すると解されています。所有権の帰属に影響します。
選択肢4 → ❌
不法原因給付は犯罪行為だけでなく、公序良俗違反(民法90条)にも適用されます。むしろ公序良俗違反の場合が中心的な適用場面です(愛人契約・賭博関係など)。
背景知識
不法原因給付は、不法な原因に基づく給付について返還請求を否定する制度で、「クリーンハンドの原則」を反映しています。法は不法に手を染めた者を救済しないという考え方です。例えば、賭博で支払った金銭、愛人契約に基づく贈与などは返還請求できません。判例は所有権に基づく返還請求も認めず、結果的に給付物の所有権が受益者に帰属するとしています。ただし、不法性が受益者にのみある場合(給付者は善意・無自覚の場合)は返還請求が認められます。
学習アドバイス
不法原因給付は「クリーンハンドの原則」と理解しましょう。原則返還請求否定、例外(受益者のみ不法)の構造を覚え、所有権への影響(判例)も応用論点として押さえましょう。
まとめ
- 不法原因給付は原則として返還請求不可
- 不法性が受益者のみにあるときは返還請求可
- 判例上所有権も反射的に受益者に移転