【問111】ビジネス実務法務検定3級 練習問題|不当利得の成立
民法(物権・担保・相続) 問31/40難易度A(易しい)
問題文
民法上の不当利得(民法703条)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 1.法律上の原因なく利益を受け他人に損失を及ぼした者は、現存利益の限度で返還義務を負う。
- 2.不当利得の返還義務は、利益を受けた者に故意または過失があった場合にのみ生じる。
- 3.不当利得が成立するためには、利益を受けた者と損失を被った者との間に契約関係が必要である。
- 4.悪意の受益者は、その受けた利益を返還する義務を負うが、利息を付ける必要はない。
解説
正解
正解は選択肢1です。
民法703条により、法律上の原因なく他人の財産または労務によって利益を受け、これにより他人に損失を及ぼした者は、その利益の存する限度で返還する義務を負います。
各選択肢の解説
選択肢1 → ✅
民法703条のとおりです。善意の受益者は現存利益の返還で足ります。
選択肢2 → ❌
不当利得の返還義務は、受益者の故意・過失を問わず生じます。ただし悪意の受益者は加重された返還義務を負います。
選択肢3 → ❌
不当利得の成立に契約関係は不要です。むしろ「法律上の原因なく」が要件であり、契約等の原因がない場合に問題となります。
選択肢4 → ❌
民法704条により、悪意の受益者は受けた利益に利息を付して返還し、なお損害があれば賠償する責任を負います。
背景知識
不当利得は、法律上の原因なく利益を受けた者から、損失を被った者へ財産を返還させる制度で、公平の理念に基づきます。要件は、(1)他人の財産・労務による受益、(2)他人の損失、(3)受益と損失の因果関係、(4)法律上の原因の不存在、です。民法703条は善意の受益者の場合で「現存利益」(手元に残っている利益)を返還すれば足り、民法704条は悪意の受益者の場合で「受けた利益+利息」と「損害賠償」を負担します。なお非債弁済(705条)、不法原因給付(708条)など返還を制限する特則があります。
学習アドバイス
不当利得は「法律上の原因なし」がキーワードです。善意(703条)と悪意(704条)の責任の差を整理し、現存利益と利息の違いを押さえましょう。非債弁済・不法原因給付の特則も応用論点です。
まとめ
- 善意受益者は現存利益の返還義務(703条)
- 悪意受益者は利息付返還+損害賠償(704条)
- 不当利得の要件に契約関係は不要