【問110】ビジネス実務法務検定3級 練習問題|名誉毀損
民法(物権・担保・相続) 問30/40難易度C(難しい)
問題文
民法上の名誉毀損による不法行為に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 1.名誉毀損による損害賠償の方法は、原則として原状回復であり、金銭賠償は認められない。
- 2.被害者は損害賠償の請求のほか、名誉を回復するのに適当な処分を請求することができる。
- 3.名誉毀損は、虚偽の事実を摘示した場合のみ成立し、真実の事実を摘示した場合には一切成立しない。
- 4.名誉毀損は、特定の個人に対する場合のみ成立し、法人に対しては成立しない。
解説
正解
正解は選択肢2です。
民法723条により、他人の名誉を毀損した者に対しては、裁判所は被害者の請求により、名誉を回復するのに適当な処分を命ずることができます。
各選択肢の解説
選択肢1 → ❌
損害賠償の原則は金銭賠償です(722条1項・417条)。名誉毀損では金銭賠償に加え、原状回復処分(謝罪広告など)が認められます。
選択肢2 → ✅
民法723条のとおり、損害賠償と原状回復処分の双方が認められます。
選択肢3 → ❌
名誉毀損は事実の真否を問わず成立し得ます。ただし、公共の利害に関する事項について公益目的で真実を摘示した場合は違法性が阻却される場合があります(判例)。
選択肢4 → ❌
法人にも社会的評価があり、判例上、法人に対する名誉毀損も成立します(最判昭和39.1.28)。
背景知識
名誉毀損は、人の社会的評価を低下させる行為で、不法行為として損害賠償の対象となります。民法723条は、金銭賠償だけでは不十分な場合のため、原状回復として「名誉を回復するのに適当な処分」を命じる制度を定めています。代表例が謝罪広告で、判例は表現の自由との関係で「単に事態の真相を告白し陳謝の意を表明する程度」のものは合憲としています(最判昭和31.7.4)。法人にも名誉権が認められ、損害賠償・原状回復処分の対象となります。インターネット上の名誉毀損も同様に成立し、現代では重要論点です。
学習アドバイス
名誉毀損では「金銭賠償+原状回復処分(謝罪広告等)」のセットで考えましょう。法人にも名誉権がある点、真実摘示でも違法性阻却の判断になる点が応用論点です。
まとめ
- 名誉毀損では金銭賠償と原状回復処分(723条)が認められる
- 法人にも名誉権が認められる
- 真実摘示でも公益目的等の違法性阻却事由がなければ成立