【問109】ビジネス実務法務検定3級 練習問題|正当防衛・緊急避難
民法(物権・担保・相続) 問29/40難易度B(標準)
問題文
民法上の正当防衛および緊急避難(民法720条)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 1.他人の不法行為に対し、自己または第三者の権利の防衛のためやむを得ず加害した者は賠償責任を負わない。
- 2.民法上の正当防衛は、刑法上の正当防衛と全く同一の要件を満たした場合にのみ成立する。
- 3.他人の物から生じた急迫の危難を避けるためにその物を損傷した者は、いかなる場合でも損害賠償責任を負う。
- 4.正当防衛および緊急避難は、いずれも違法性阻却事由ではなく、責任阻却事由として規定されている。
解説
正解
正解は選択肢1です。
民法720条1項により、他人の不法行為に対し自己または第三者の権利・利益を防衛するためやむを得ず加害行為をした者は、損害賠償責任を負いません。
各選択肢の解説
選択肢1 → ✅
民法720条1項のとおりです。民法上の正当防衛が成立すれば違法性が阻却され損害賠償責任は生じません。
選択肢2 → ❌
民法上の正当防衛と刑法上の正当防衛は要件が類似しますが、保護対象(民法は「権利または法律上保護される利益」、刑法は「権利」)など細部で違いがあります。
選択肢3 → ❌
民法720条2項により、他人の物から生じた急迫の危難を避けるためにその物を損傷した者は、損害賠償責任を負いません(緊急避難)。
選択肢4 → ❌
正当防衛・緊急避難は、判例・通説上、違法性阻却事由とされ、責任阻却事由ではありません。
背景知識
民法720条は、不法行為の違法性阻却事由として正当防衛と緊急避難を規定しています。正当防衛は他人の「不法行為」に対して、自己または第三者の権利・利益を守るためにやむを得ず加害行為をした場合に成立し、損害賠償責任を負いません。緊急避難(民法720条2項)は他人の「物」から生じた急迫の危難を避けるためその物を損傷した場合で、刑法の緊急避難(人の物を損傷)とは要件が異なります。なお、その他の違法性阻却事由として、被害者の承諾、自救行為、正当業務行為などが認められています。
学習アドバイス
民法上の正当防衛・緊急避難は刑法と要件が似ていますが、緊急避難の対象が「他人の物」に限定される点が大きな特徴です。違法性阻却事由として位置づけられることも押さえましょう。
まとめ
- 民法上の正当防衛が成立すれば損害賠償責任なし
- 民法上の緊急避難は他人の物を損傷した場合に成立
- 正当防衛・緊急避難は違法性阻却事由