【問102】ビジネス実務法務検定3級 練習問題|使用者責任
民法(物権・担保・相続) 問22/40難易度A(易しい)
問題文
民法上の使用者責任(民法715条)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 1.使用者責任が成立するためには、被用者の不法行為が事業の執行について行われたことが必要である。
- 2.使用者は、被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意を尽くしていた場合であっても、責任を免れることができない。
- 3.使用者責任が成立した場合、使用者は被用者に対して求償することは一切できない。
- 4.使用者責任は、被用者と使用者との間に正式な雇用契約が存在する場合にのみ成立する。
解説
正解
正解は選択肢1です。
民法715条1項により、ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負います。
各選択肢の解説
選択肢1 → ✅
民法715条1項のとおりで、「事業の執行について」が成立要件です。
選択肢2 → ❌
民法715条1項ただし書により、選任・監督について相当の注意をしたとき、または相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、使用者は免責されます。実務上はほとんど認められませんが、法文上の免責規定はあります。
選択肢3 → ❌
民法715条3項により、使用者は被用者に対して求償できます。ただし判例により、信義則上相当な範囲に限定されます。
選択肢4 → ❌
使用者責任の「使用関係」は事実上の指揮監督関係があれば足り、正式な雇用契約は不要です。下請関係や派遣でも該当する場合があります。
背景知識
使用者責任は、被用者の不法行為について使用者が責任を負う特殊不法行為です。理論的には、(1)他人の労力を利用して利益を得る者がリスクも負担すべきという報償責任、(2)被害者保護のための無過失責任的構成、として説明されます。要件は、(1)使用関係、(2)事業執行性、(3)被用者の不法行為、(4)使用者の免責事由なし、です。「事業の執行について」は外形標準説により判断され、被用者の職務範囲内に客観的に見える行為であれば該当します。求償は判例により信義則上相当な範囲(実務では2割~5割程度)に制限されます。
学習アドバイス
使用者責任は実務上極めて重要で頻出論点です。要件(特に事業執行性の外形標準説)、免責事由(実務上ほぼ認められない)、求償の制限(信義則)の3点を押さえましょう。雇用契約に限らず指揮監督関係があれば足りる点も重要です。
まとめ
- 使用者責任は事業の執行についての行為に成立
- 選任監督の相当の注意があれば免責の余地(実務上は限定的)
- 使用者から被用者への求償は信義則上相当な範囲に限定