【問95】ビジネス実務法務検定3級 練習問題|抵当権の物上代位
民法(物権・担保・相続) 問15/40難易度B(標準)
問題文
抵当権の物上代位に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 1.抵当権者は、抵当不動産が滅失して保険金請求権が発生した場合、当該保険金請求権に物上代位することができる。
- 2.抵当権者が物上代位権を行使するためには、抵当権設定者の承諾が必要である。
- 3.抵当権者は、抵当不動産が第三者に売却された場合、当該売買代金請求権に物上代位することは一切できない。
- 4.物上代位は、抵当不動産が金銭または金銭債権に変じた場合のみ認められ、賃料債権には及ばない。
解説
正解
正解は選択肢1です。
民法372条・304条により、抵当権者は、目的物の売却・賃貸・滅失・損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対して物上代位できます。保険金請求権はこれに該当します。
各選択肢の解説
選択肢1 → ✅
保険金請求権は「滅失・損傷によって受けるべき金銭」に該当し、物上代位の対象です。
選択肢2 → ❌
物上代位の要件は「払渡しまたは引渡しの前の差押え」(民法304条1項ただし書)であり、設定者の承諾は不要です。
選択肢3 → ❌
売買代金請求権も物上代位の対象になり得ます(ただし実務上は抵当権の追及効により直接実行することが多い)。一切できないというのは誤りです。
選択肢4 → ❌
判例は賃料債権への物上代位を認めています(最判平成元.10.27)。
背景知識
物上代位は、抵当目的物の交換価値を把握する抵当権の性質から、目的物が形を変えた金銭債権などにも効力が及ぶ制度です。対象は売却代金、賃料、保険金、損害賠償金などです。物上代位を実行するには、第三者に支払われる前に差押えが必要で、これは抵当権者の特定・公示と二重弁済の防止のためです。賃料債権への物上代位は、収益型不動産の担保価値を維持するため重要です。なお、根抵当権でも物上代位が可能です。
学習アドバイス
物上代位は「目的物の価値変化を追う」と理解しましょう。対象(売買代金・賃料・保険金・損害賠償)と要件(払渡前の差押え)を覚えれば十分です。賃料への物上代位は実務上重要で頻出論点です。
まとめ
- 抵当権者は売買代金・賃料・保険金等に物上代位できる
- 物上代位の要件は払渡前の差押え
- 賃料債権への物上代位も判例で認められている