【問87】ビジネス実務法務検定3級 練習問題|時効取得
民法(物権・担保・相続) 問7/40難易度A(易しい)
問題文
所有権の時効取得(取得時効)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 1.20年間、所有の意思をもって平穏かつ公然と他人の物を占有した者は、善意・悪意を問わずその所有権を取得する。
- 2.10年間、所有の意思をもって他人の物を占有した者は、占有の始めにおいて善意・無過失であっても、所有権を取得することはできない。
- 3.取得時効が完成するためには、占有者が一貫して同一人物でなければならず、占有の承継は認められない。
- 4.取得時効による所有権の取得は、時効の援用を待たずに当然に効力を生ずる。
解説
正解
正解は選択肢1です。
民法162条1項により、20年間、所有の意思をもって平穏・公然と他人の物を占有した者は、善意悪意を問わず所有権を取得します。
各選択肢の解説
選択肢1 → ✅
民法162条1項のとおり、20年の長期取得時効では占有開始時の善意・悪意を問いません。
選択肢2 → ❌
民法162条2項により、占有開始時に善意・無過失であれば10年で取得時効が完成します。「取得できない」というのは誤りです。
選択肢3 → ❌
民法187条1項により、占有者の承継人は自己の占有のみ、または前の占有者の占有を併せて主張できます。占有の承継は認められます。
選択肢4 → ❌
時効の効力は、当事者が時効を援用しなければ生じません(民法145条)。当然に効力を生じるわけではありません。
背景知識
取得時効は、長期間にわたる事実状態を尊重し、これを権利関係に高める制度です。長期取得時効(20年)は善意悪意を問わず成立し、短期取得時効(10年)は占有開始時の善意・無過失が要件となります。なお善意・無過失は占有開始時のみで判断され、途中で悪意になっても10年で完成します。占有は承継可能で、相続や譲渡により先代の占有期間を引き継いで主張できます。時効の効果を主張するには援用が必要で、起算日に遡って効力が生じます。
学習アドバイス
「20年なら善悪不問」「10年なら開始時善意無過失」が基本です。占有の承継、援用の必要性、起算日への遡及効も頻出ポイントです。短期と長期の違いをしっかり区別しましょう。
まとめ
- 長期取得時効は20年・善意悪意不問
- 短期取得時効は10年・占有開始時善意無過失が必要
- 時効の効果には援用が必要