【問64】ビジネス実務法務検定3級 練習問題|損害賠償の範囲
民法(債権・契約) 問24/36難易度B(標準)
問題文
債務不履行による損害賠償の範囲(民法416条)に関する記述として、2020年改正民法のもとで最も適切なものはどれか。
- 1.債務不履行による損害賠償の範囲は、通常生ずべき損害および特別事情による損害の全てに及ぶ
- 2.通常損害は賠償範囲となるが、特別損害は当事者が予見すべきであったときに限られる
- 3.予見可能性の有無は、債権者の主観的認識のみで判断される
- 4.予見すべき時期は、契約締結時に限定されている
解説
正解
正解は選択肢2です。
各選択肢の解説
選択肢1 → ❌誤り
416条2項は特別損害につき予見可能性を要件としており、無条件に全損害を賠償するわけではありません。
選択肢2 → ✅正解
民法416条1項は通常損害の賠償を規定し、同条2項は「特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見すべきであったときは、債権者は、その賠償を請求することができる」と規定しています。
選択肢3 → ❌誤り
改正前は「予見し、又は予見することができた」とされていましたが、改正で「予見すべきであった」に変更され、客観的判断であることが明確化されました。
選択肢4 → ❌誤り
予見の基準時は債務不履行時と解されています(判例・通説)。
背景知識
416条は「相当因果関係説」に基づいて損害賠償の範囲を定める規定で、英米法のハドリー・対・バクセンデール事件ルールに類似します。1項の通常損害は賠償範囲に当然含まれ、2項の特別損害は予見可能性で限定されます。改正民法は「予見し又は予見できた」から「予見すべきであった」に変えることで、規範的・客観的判断であることを明確化しました。判例は予見の基準時を債務不履行時としています(大判大8・6・10)。
学習アドバイス
416条は損害賠償論の中心条文です。通常損害と特別損害の区別、予見可能性の客観化(改正点)、予見の基準時(債務不履行時)をセットで理解しましょう。
まとめ
- 通常損害は賠償範囲(416条1項)
- 特別損害は予見すべきであった場合のみ賠償(同条2項)
- 改正で予見可能性は客観的・規範的判断と明確化