【問63】ビジネス実務法務検定3級 練習問題|履行不能と填補賠償
民法(債権・契約) 問23/36難易度A(易しい)
問題文
債務の履行不能に関する記述として、2020年改正民法のもとで最も適切なものはどれか。
- 1.債務の履行が社会通念に照らして不能なときは、債権者は履行を請求できない
- 2.履行不能となった場合、債権者は損害賠償を請求できず、契約解除のみが可能である
- 3.原始的不能の契約は、契約として無効である
- 4.履行不能による損害賠償(填補賠償)の請求には、債務者の帰責事由は不要である
解説
正解
正解は選択肢1です。
各選択肢の解説
選択肢1 → ✅正解
民法412条の2第1項は「債務の履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして不能であるときは、債権者は、その債務の履行を請求することができない」と規定しています。
選択肢2 → ❌誤り
民法415条2項は履行不能の場合の填補賠償を規定しており、損害賠償も解除も可能です。
選択肢3 → ❌誤り
民法412条の2第2項は「契約に基づく債務の履行がその契約の成立の時に不能であったことは、第415条の規定によりその履行の不能によって生じた損害の賠償を請求することを妨げない」と規定しており、原始的不能でも契約は有効です。
選択肢4 → ❌誤り
履行不能による損害賠償も債務者の帰責事由が必要です(415条1項ただし書)。
背景知識
旧民法は履行不能を解釈に委ねていましたが、改正民法は412条の2を新設し、履行不能を「社会通念に照らして」判断する立場を明文化しました。また、原始的不能の契約は無効とする旧通説を覆し、契約は有効に成立し損害賠償の請求が可能であるとしました(412条の2第2項)。これは取引の安全と当事者意思の尊重を図るためです。履行不能には物理的不能、法的不能、社会観念上の不能が含まれます。
学習アドバイス
412条の2は改正で新設された重要条文です。「社会通念上の不能」「原始的不能の有効化」をセットで覚えましょう。415条との関係(履行請求不可と損害賠償可の併存)も理解が必要です。
まとめ
- 履行不能は社会通念に照らして判断(412条の2第1項)
- 原始的不能でも契約は有効(同条2項)
- 損害賠償には債務者の帰責事由が必要(415条)