【問53】ビジネス実務法務検定3級 練習問題|敷金の返還義務
民法(債権・契約) 問13/36難易度A(易しい)
問題文
賃貸借における敷金の返還に関する記述として、2020年改正民法のもとで最も適切なものはどれか。
- 1.敷金は契約終了と同時に賃借人に全額返還しなければならない
- 2.敷金返還請求権は賃貸物の明渡し後に発生し、未払賃料等を控除した残額が返還される(民法622条の2)
- 3.敷金返還義務と賃貸物の明渡義務は同時履行の関係に立つ
- 4.敷金は賃貸借契約の存続中、賃借人がいつでも自由に取り戻すことができる
解説
正解
正解は選択肢2です。
各選択肢の解説
選択肢1 → ❌誤り
敷金は賃借人の債務を担保するため預けられるもので、未払賃料等を控除した残額が返還されます(622条の2第1項1号)。
選択肢2 → ✅正解
民法622条の2第1項1号は「賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき」に敷金返還義務が発生し、賃貸借に基づく債権の額を控除した残額を返還すると規定しています。
選択肢3 → ❌誤り
判例(最判昭49・9・2)は、明渡しが先履行であり、敷金返還請求権は明渡しの後に発生するため同時履行関係に立たないとしています。
選択肢4 → ❌誤り
敷金は賃貸借終了かつ目的物返還まで担保として機能し、存続中に取り戻すことはできません。
背景知識
敷金は判例法理として確立していたものを2020年改正民法が明文化したものです(622条の2)。同条1項は敷金の定義を「いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭」とし、明渡し時に賃貸人が控除して残額を返還する仕組みを規定しました。同条2項は賃貸人による敷金の充当も明文化しています。
学習アドバイス
敷金は条文化されたばかりの新規定で、出題が増えています。「明渡し先履行」「未払債務控除後の残額返還」がキーフレーズです。同時履行関係でない点も重要です。
まとめ
- 敷金返還義務は明渡し後に発生(622条の2第1項1号)
- 控除後の残額が返還される
- 明渡しと敷金返還は同時履行関係にない(判例)